「石破×トランプ初会談」を成功に導く意外なキーマンは誰だ?
日米関係に詳しい国際ジャーナリストの小西克哉氏がこう続ける。 「ビジネスマン気質を持つトランプ氏だけに、経済や通商問題についてすぐにでも結果が見える具体的な要求をしてくるでしょう」 すでにメキシコやカナダからのすべての輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の追加関税を課す意向を示しているが、石破首相との会談の席で日本にも「10%程度の追加関税の話を持ちかけてくる可能性が高い」と小西氏はみる。 安全保障の分野で石破首相が最も警戒しなければならないのは「米軍駐留経費の増額要求」だと防衛ジャーナリストの半田滋氏は指摘する。 「トランプ氏は1期目に日本政府に対して米軍の駐留経費負担として年80億ドル(当時8600億円程度)を求めてきた過去があります。80億ドルはそれまでの4倍の水準で、あまりにも常識外れの額ですが、再び同じような法外な対日要求がトランプ氏の口から飛び出すかもしれません」 その際、石破首相はどう対応すればいいだろうか。 「現状、日本は『思いやり予算』を含む在日米軍関係経費として年間約6500億円を負担しています。その負担率は約75%にも達し、ドイツや韓国など、米軍基地を持つ他国の負担率(3~6割程度)と比べても突出している。 トランプ氏に対しては、まずこの実績をしっかり説明することが肝要です。その上で、できないことはできないとはっきり言う必要があるでしょう」 トランプ氏と対峙する石破首相にはこうした冷静沈着な対応力が求められている。 最後に、政府内で石破・トランプ会談のキーマンと目されている人物について、前出の外務省関係者がこう語る。 「国家安全保障を担当する長島昭久補佐官です。長島氏は昨年11月20日に訪米し、トランプ次期政権入りが見込まれる複数の共和党関係者と会談しました。 特に注目されるのがウィリアム・ハガティ上院議員との会談。彼はトランプ政権1期目で駐日大使を務めた人物で、トランプ氏に直接アクセスできる数少ない存在。 会談では、核兵器投入を含む拡大抑止の信頼性確保や防衛装備の共同開発、さらに日米韓協力の今後について突っ込んだ議論が交わされたようです」 首脳会談の早期実現に加え、トランプ陣営と密接なパイプを築く上で「長島氏の存在は極めて大きいと政府内ではみられている」という。 迫る石破・トランプ会談、吉凶の行方は? 取材・文/興山英雄 写真/共同通信社