「石破×トランプ初会談」を成功に導く意外なキーマンは誰だ?
■頼りはやり手の通訳 首相周辺では、トランプ氏との会談に向け、着々と準備が進められているという。 「首脳会談では通常、どの議題について何を発言するか、相手の発言にどう応じるか、外務省が詳細な発言・応答要領を作成します」(山上氏) ただ、アメリカ現代政治が専門の上智大学教授・前嶋和弘氏は、トランプ氏との会談では「特別な対応が求められる」と指摘する。 「予測不可能な発言が多いトランプ氏に対しては、その性格や行動パターン、コミュニケーションの癖などを詳細にまとめた"取扱説明書"が外務省内で作成されています。 その取説には、トランプ氏の発言に異議がある場合でも直接『NO』とは言わず、いったん受け入れた上で、『こうしたほうが米国にとって得策です』といった代案を示す、という対応パターンが含まれているそうです。この取説に基づく発言や振る舞いが石破首相には求められるでしょう」 前嶋氏によれば24年8月、トランプ再選に備え、当時中国勤務だった外交官・高尾直氏が官邸の意向で外務省本省に呼び戻され、北米局日米地位協定室長に任命された。彼は安倍・トランプ会談のすべてを通訳した人物だ。山上氏は高尾氏をこう評する。 「私は外務省在籍中、彼が安倍元首相の通訳を務める場に何度も居合わせましたが、首相の発言を正確に訳出する技量は傑出している。 聞き取りやすさ、声の張り、テンポが秀逸で、彼が訳した英語はしばしば、安倍元首相が話す日本語よりも立派に聞こえました。トランプ氏も高尾氏を高く評価しており、外交が不得手な石破首相の弱点を補う上でも欠かせない存在です」 12月22日、石破首相は都内の教会でクリスマス礼拝に参加したが、そこには官邸のこんな意図があるという。 「石破首相はキリスト教プロテスタント長老派のクリスチャンで、トランプ氏も同じ長老派に属しているとされています。そこで官邸は異例の対応を取り、マスコミ各社に首相の礼拝のぶら下がり取材をさせ、その模様を大々的に報じさせました。 これは、トランプ氏との会談前に共通の宗派に属していることをアピールし、親近感を得る狙いが官邸と外務省にあったとみられます」(外務省関係者)