「石破×トランプ初会談」を成功に導く意外なキーマンは誰だ?
だが、前出の前嶋氏はこう顔を曇らせる。 「トランプ氏が数年前に長老派を離れ、現在は特定の宗派に属さないクリスチャンであることはアメリカではよく知られた話。 石破首相が長老派であることをアピールしたところで『そうなんだ』で終わる話ですし、受け取られ方が悪ければ、『俺がもう長老派じゃないことも知らないのか?』と不快に思われるリスクさえある。長老派の話題は出さないことが賢明でしょう」 外務省は会談に向け最高の通訳を用意したが、山上氏は石破首相の通訳泣かせな話し方に懸念を示す。 「アメリカ人の石破評には『convoluted』という言葉がよく使われます。『まわりくどい』という意味で、高尾氏の通訳レベルなら"石破話法"をうまく訳せるでしょうが、ロジックとしてのわかりづらさは変えようがない。長々とした説明を嫌い、結論を急ぎたがるトランプ氏にはミスマッチな話法です」 ■成果を焦るトランプにどう対応する? ところで、トランプ氏は石破首相との会談でどんな要求をしてくるだろうか? 11月の大統領選で、共和党トランプ候補は激戦州7州をすべて制し、上下両院選挙でも共和党が勝利。大統領職、上院、下院のいずれも共和党が多数派を占める、いわゆる「トリプルレッド」の状況となった。 前出の外務省関係者は「人事承認権(上院)と予算編成権(下院)を完全掌握したトランプ氏の思うがままに国政が進められる公算が大きい」と指摘する。 だが、その状況が長く続くわけではない。 「アメリカ憲法は大統領職の3選を禁止しており、この4年間がトランプ氏の最後の任期。そして通常、中間選挙では現政権与党が議席を減らすのが通例ですから、26年の中間選挙では、与野党で僅差の現状にある下院で民主党が逆転する可能性は低くない」(前出・山上氏) そのためトランプ氏は、特に最初の2年間は全力で成果を上げようとしてくる。 「その圧力は、初の石破首相との会談でも如実に表れるかもしれません」(山上氏)