市民を「巻き添え」でなく「ターゲット」にしたロシア:ウクライナ侵攻という「クラウゼヴィッツの鬼子」
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2月24日、ロシアが ウクライナへの侵攻 を開始した。2021年秋頃から、ウクライナ国境付近のロシア軍配備の増強をきっかけに始まったウクライナ危機を巡って、首脳外交までもが行われて事態の打開が模索されている中での衝撃的な攻撃開始であった。 これについて、「プーチンは狂ったのか」「理解できない行動」との評価もみられるが、筆者は、「政治的目的を達成するための軍事行動」として捉えると、ウラジーミル・プーチン大統領なりの「合理的行動」として十分理解することができると考えている。軍事行動と政治的目的との連接性を見いだすことができるからだ。 しかし、これは、戦争を「政治におけるとは異なる手段をもってする政治の継続」(カール・フォン・クラウゼヴィッツ『 戦争論 』)として捉える、19世紀的な「古い」武力行使観そのものでもある。そして、武力の矛先は、相手の武力だけでなく、社会そのものに向けられている。その意味でいま、世界は「クラウゼヴィッツの亡霊」と向かい合っているとも言えるのかもしれない。
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高橋杉雄