金融市場は自民総裁選を注視、金融政策に影響の見方広がれば変動も
(ブルームバーグ): 事実上の次期首相を決める自民党総裁選の開票が27日に行われる。過去最高の9人の候補者が乱立する混戦模様となる中で、新総裁の経済政策に関するスタンス次第で日本銀行の金融政策運営に影響を及ぼす可能性があり、市場はその行方を注視している。
「金利を今、上げるのはあほやと思う」。候補者の1人、高市早苗経済安全保障担当相は23日、インターネット番組で持論を展開し、政策正常化を進める日銀をけん制した。円安メリットも強調するとともに、利上げは個人消費や設備投資に悪影響を及ぼして「長いデフレに戻る不安がある」との見解を示した。
日銀は、20日の金融政策決定会合で金融政策の据え置きを決定。経済・物価情勢が日銀の見通しに沿って推移すれば、段階的に金利を引き上げていく方針だ。植田和男総裁は会合後の会見で、「新政権とはこれまでと同様、十分に意思疎通を図っていければと考えている」とかわしたが、政府と日銀の足並みの乱れは経済と金融市場に悪影響を及ぼすことが懸念される。
報道各社の調査では、高市氏、小泉氏、石破氏の3氏による三つどもえの構図となっている。アベノミクスを継承し、積極的な財政出動を掲げる高市氏以外から金融政策に関する踏み込んだ発言は出ていない。物価高騰が国民の関心事になっている中で、他の候補の場合は日銀の政策正常化路線も理解を得られやすいとの見方が市場では多い。
ソシエテ・ジェネラル証券の剣崎仁調査部長兼チーフエコノミストは、結局は高市氏が勝つかどうかが問題だと指摘。その上で、今回の総裁選が日銀に与える影響を計る上で、それが最も重要なポイントだとの見方を示した。
混戦状態の中で上位2人による決選投票にもつれ込む公算が大きくなっており、小泉氏や石破氏の場合でも総裁選後に高市氏が一定の影響力を持つ可能性は否定できない。
時間的余裕
共同通信のアンケート調査で石破茂元幹事長は、「日銀の独立性を尊重」としつつ「経済や国民生活に支障が生じない範囲、ペースで正常化されることを期待する」と指摘。小泉進次郎元環境相は11日のBS11の番組で「日銀の独立性は尊重はしたい」と発言。第二次安倍政権以降の歴代政権が政府と日銀の対話、コミュニケーションを重視してきたと指摘した上で、「そこは同じだ」とも述べた。