日本株、じつは今年すごいことになっている「自社株買い」の勢いにのる「プロ厳選企業5選」を実名紹介
本田技研工業(7267)
■株価(6月7日時点終値)1667.5円 同社は、2030年までにEVやソフトウエアに10兆円を投資する計画を発表している。これは、トヨタの「30年までに5兆円投資」という目標と比べても、約2倍の金額だ。CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)時代を見据えた積極的な成長戦略と言えるだろう。 巨額投資と引き換えに株主還元の積極姿勢が失われてしまう可能性は低いと考える。会社側はPBR(株価純資産倍率)を1倍に回復させる意識を強く保持している。すでに自己株式の取得については、1億8,000万株、3,000億円を上限に、2024年5月13日から2025年3月31日までの期間で行う意思を示している。 型式認証不正問題の影響は限定的と見られるが、国内自動車メーカー全体の株価にとってPER(株価収益率)のプレミアムを低下させる懸念はあるだろう。一方、同社の株価指標は相対的に割安感が強まっている。積極投資による潜在成長力の高まりと株主還元策の強化も考慮すれば、株価の下値は限定的と考える。
富士通(6702)
■株価(6月7日時点終値)2432円 規模の経済が働きやすいITサービス業界において、富士通は国内最大級の企業として、ソフト資産の再利用と横展開による強力な競争力を発揮している。PCや携帯電話などのハードウェア事業からサービス業へのシフトが順調に進み、いまや利益の大半をITサービス事業で稼ぎ出している。 足元ではクラウドサービス「ユーバンス(Fujitsu Uvance)」が好調。2026.3期に調整後営業利益5000億円を目指す同社にとって、ユーバンスを含むITサービスの成長が目標達成の鍵となりそうだ。国内企業や公共分野でのデジタル変革(DX)や基幹システムの刷新(モダナイゼーション)に対するIT投資需要は根強く、富士通の成長ドライバーとなるだろう。 4月25日には上限1億5000万株・1800億円の自己株式取得枠を設定すると発表した。発行済株式数の8.16%に相当する大きな規模だ。国内ITサービス事業で他社を圧倒する収益性を背景に、積極的な株主還元策と企業価値向上への強い意志を示している。