大相撲九州場所、霧島が優勝で陸奥親方に親孝行。熱海富士のあっけない負けには伊勢ヶ濱親方の厳しい分析が…
11月12日、大相撲九州場所が福岡国際センターで始まり、昨日無事千秋楽を迎えました。横綱不在の中、先場所優勝した大関・貴景勝の綱とりに注目が集まりましたが、結果は霧島が年間最多勝で優勝を飾りました。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。 * * * * * * * ◆大関・霧島の2回目の優勝 1年納めの大相撲九州場所は、大関・霧島の2回目の優勝で幕を閉じた。成績は13勝2敗。霧島は初めて年間最多勝力士となった。 「敢闘賞」は関脇・琴ノ若(5回目)、前頭8枚目・熱海富士(2回目)、前頭14枚目・一山本(初)。「殊勲賞」と「技能賞」の該当者はなかった。 霧島は激動の1年を「すばらしい1年でした」と、土俵下でのインタビューで言った。今年春場所に関脇で初優勝し、夏場所後に大関昇進が決定。しかし次の名古屋場所は肋骨を痛めて6勝7敗2休で負け越し、秋場所はカド番となったが9勝をあげた。 14日目に霧島が熱海富士に勝った時点で、霧島が優勝すると思った人は多いのではないだろうか。私は相撲の取り口ではなくて、あまりの落ち着きぶりに優勝すると思った。 大一番となると力士は顔や胸の上が赤くなったりするが、霧島は顔色が変わらず、表情も変わらず。今場所、顔の表情が変わったのは、稽古の時に痛めた親指が相撲を取った後、痛かった時だけだった。この人はいったいどういう性格をしているのかと、いつも思っていた。
◆最高の親孝行 霧島はNHKの『サンデースポーツ』に千秋楽の後に出演した。チョコとゼリーが好きで、モチベーションを上げるためにモンゴルのロックバンド「The Hu(ザ・フー)」を聴いていることだけは分かった。 師匠の陸奥親方(元大関・霧島)は「最高の親孝行をしてくれた」と言っているそうだ。もちろん親子ではないが、師匠と弟子の関係が美しいなあ。 私は、千秋楽恒例の三役揃い踏みと、その後の3番を、毎場所楽しみにしている。 今場所、西から扇の要として四股を踏んだのは熱海富士だ。14日目に霧島に負けて3敗となったが、千秋楽に勝って、霧島が大関・貴景勝に負ければ、霧島と熱海富士の優勝決定戦が見られる。 ところが、熱海富士は琴ノ若に引き落としで負け4敗に。これで土俵下にいた霧島の優勝は決定した。琴ノ若は11勝4敗。 次に登場したのが、多種の技を披露する大関・豊昇龍と突き押し一筋の関脇・大栄翔だ。大栄翔は見せ場なしで豊昇龍に寄り切られた。豊昇龍は10勝5敗、大栄翔は9勝6敗で大関に近づける二桁を上げられなかった。 結びの一番は、今場所は連覇も綱とりの夢も消えた大関・貴景勝だが先輩大関の意地を見せて、霧島を土俵から押し出すかと思ったら、あっけなく突き落とされてしまった。