酸化アルミニウム価格が過去最高、輸入依存の中国アルミメーカーが窮地に
アルミニウムのサプライチェーンに危機が迫りつつある。供給不足によりアルミニウムの重要な原料であるアルミナ(酸化アルミニウム)の1トン当たりの価格が、昨年末の330ドル(約4万9000円)から2倍近い645ドル(約9万6000円)と過去最高値をつけた。 輸入原料への依存度を高めている中国のアルミニウムメーカーは、アルミナ価格のこの1週間での急上昇でかつてなく厳しい状況に直面している。 アルミナは、ボーキサイトという鉱石の採掘から始まり、アルミナに精製され、その後アルミニウムに製錬される3段階のアルミニウム製造プロセスの中間点で登場する。 現在、ギニアとオーストラリアで起きている問題が、アルミニウムのサプライチェーンの最初の2段階を逼迫させている。 中国が輸入するボーキサイトの70%を西アフリカのギニアが供給しているが、現地の税関当局の方針との食い違いから主要生産者の出荷が停止されている。 もう1つのボーキサイトとアルミナの主要生産国であるオーストラリアでは環境規制が強化され、また天然ガスの供給が不足していることから、いずれの輸出も落ちている。 米アルミ大手のAlcoa(アルコア)は、オーストラリアに所有するアルミナ精製所3カ所のうち最も古い1カ所を閉鎖しており、英資源大手Rio Tinto(リオ・ティント)が所有する精製所は天然ガス不足のためにアルミナを供給できないという。 こうした動きは、アルミニウムに対する需要が高まり、世界のアルミニウム生産量が過去最高近くになっていると報じられている中でのものだ。 米投資銀モルガン・スタンレーは先に中国が国内でのボーキサイト供給の問題に直面し、かつボーキサイトの輸入が危ぶまれていることもあり、アルミニウムのサプライチェーンの逼迫が加速していると顧客に伝えている。 米銀シティもこのほど「供給の混乱が引き続きアルミニウムの原料市場に影響を及ぼしており、アルミニウム価格を下支えするはずだ」とコメントした。 ギニアの輸出の13%、世界供給の3.6%を占めるアラブ首長国連邦(UAE)のアルミ大手Emirates Global Aluminium(エミレーツ・グローバル・アルミニウム)の出荷停止が原因で、アルミニウム価格は先週、2%上昇して1トン当たり2587ドルとなったが、金属市場にはまだ大きな影響は出ていない。