【解説】新潟県中越地震から20年 “余震1000回以上”で避難生活長期化 いま見直したい「日頃の備え」とは
■1000回以上の余震…なぜ?
なぜこれだけ余震が多かったのか。環境防災総合政策研究機構の草野富ニ雄さんによりますと、「多くの地震の余震は本震が発生した断層面に沿って発生するが、新潟県中越地震では、本震とは別の2つの断層面で余震が相次いで発生したため、といわれている」ということです。 こうした余震は復旧作業を進めるうえでも大きな足かせになるうえ、地震がおこるたびに家屋はもろくなります。避難した人の数は、ピーク時には10万人を超えました。
■余震で増加した「災害関連死」
この地震では68人の方が亡くなりましたが、実は家屋の倒壊などの直接死よりも、「災害関連死」で亡くなった方が多くいました。つまり、避難生活が長引くなかでのストレスや持病の悪化、ショックなどによる被害が大きかったということです。 余震が多い中、車のなかで寝泊まりをして、いわゆる「エコノミークラス症候群」で亡くなる方も出ました。 厚生労働省によりますと、食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあり、場合によっては死亡に至るケースもあります。 この地域に限らず、大規模地震後の余震の多発、避難生活の長期化などは、日本全国どの地域でもおきる可能性があります。例えば、首都直下地震がおきた場合には首都圏に人口が多いため、被害も拡大し、避難生活での混乱も予想されます。
◾地震があった場合、何を持ち出せるようにすべき?◾
いざという時に持ち出せるよう準備するものとしては、例えば、 ・水、食料 ・救急セット、タオル、ウェットティッシュ ・携帯電話、ラジオ、充電器など ・最低限の着替え などがあると便利です。 水がとまることもありますので、簡易トイレもあると良いでしょうし、小さいお子さんがいる場合は、ミルクや紙おむつ、ほ乳瓶なども忘れずに用意しておきましょう。詳しくは、日本赤十字社のホームページなどにも記載されています。 また、これから冬にかけて寒い地域で懸念されているのが、地震後の“低体温症”や“凍死”です。地震により電気の復旧に時間がかかる可能性もあるため、寒い地方に住んでいる方は特に、防寒具を用意しておくことが非常に重要です。