日銀・黒田総裁会見4月25日(全文1)平成はデフレとの戦いだった
物価の動きについて
次に物価面では、消費者物価の前年比はプラスで推移していますが、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると弱めの動きが続いています。物価の上昇を遅らせてきた諸要因の解消に時間を要している中で、中長期的な予想物価上昇率も横ばい圏内で推移しています。 先行きはマクロ的な需給ギャップがプラスの状況が続く下で、企業の賃金価格設定スタンスが次第に積極化し、家計の値上げ許容度が高まっていけば実際に価格引き上げの動きが広がり、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まるとみられます。この結果、消費者物価の前年比は2%に向けて、徐々に上昇率を高めていくと考えられます。2020年度までの物価見通しを従来の見通しと比べると、おおむね不変です。 もっとも海外経済の動向や消費税率引き上げの影響など、そうした経済・物価の中心的な見通しに対する不確実性は大きいと考えられます。リスクバランスについては経済・物価ともに下振れリスクのほうが大きいと判断しています。物価面では2%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていますが、なお力強さに欠けており、物価安定の目標の実現には時間が掛かることが予想されます。なお展望レポートについては片岡委員が、消費者物価の前年比について先行き2%に向けて上昇率を高めていく可能性は、現時点では低いとして反対されました。 以上のような認識の下、日本銀行は冒頭申し上げたように、政策金利のフォワードガイダンスの明確化と、適格担保の拡充などの措置の実施を決定したところです。こうした対応は強力な金融緩和の継続に対する信認を高め、物価安定の目標の実現をより確かなものとすることに資するとともに、金融市場の安定にもつながると考えています。またこれまで同様、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため必要と判断される場合には、迅速に政策の調整を行う方針です。 日本銀行は、2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。また生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続します。