七五三「撮影トラブル」の背景に「マッチングサービス」か 神社が苦慮するカメラマンの「マナー違反」とは
七五三のシーズン。近年、子どもの晴れ姿をプロのカメラマンに撮影してもらうケースが増えたが、その陰でトラブルも頻発している。多くの参拝客がいる神聖な場所での「迷惑行為」に規制を強化する神社も増えてきた。 【写真】神社は無料セットなのか 「出張カメラマン」による撮影を禁止する神社も… * * * ■大声でポーズをつけて 11月初旬、首都圏のある神社ではおごそかな雰囲気のなか、神前結婚式が行われていた。 ところが、雅楽(ががく)の演奏がカメラマンの大声でかき消され、斎主の祝詞(のりと)も聞き取りづらくなった。 「〇〇ちゃん、表情が硬いよ? 笑って!」「右手はもうちょっと上だよ~」 社殿の外ではカメラマンが声を張り上げて、七五三の子どもにポーズをつけていたのだ。 「うるさい、だまれ!」 新郎新婦の親戚がたまりかねたのか、とうとう怒鳴り声をあげた――。 ■マナーに難あるカメラマンが増えた ここ数年、「七五三」撮影を巡るトラブルが増えているという。複数の神社から「マナーに難のあるカメラマンが増えて困っている」という声があがっているのだ。 昨今の七五三撮影は、依頼に応じて自宅や公園、神社などに出向いて撮影する「出張カメラマン」が請け負うケースが多い。 都心のある有名神社は出張カメラマンの迷惑行為に悩まされ、5年ほど前から撮影を許可制にした。広報担当者によると、10年ほど前までは、出張カメラマンによる問題は特になかったという。 「せっかくの七五三の記念ですから、他の参拝者に迷惑をかけなければ、『どうぞ、自由にお撮りください』というスタンスでした」(広報担当者) ■シャボン玉でトラブルも ところが、8年ほど前から、「大声を出して撮影する」「場所を占拠して、他の参拝者に『邪魔だからどいて』と言い放つ」などの行為が目につくようになった。 「他の参拝者にも神様にも、敬意を払って撮影していただきたいのですが」と、広報担当者は嘆く。 やむを得ず撮影を許可制にして、事前に注意事項を説明するようになった。 撮影の際には、「許可証」を身につけてもらうが、返却せずに帰ってしまう人もいるという。 「それくらい、モラルの低い出張カメラマンもいます」(同) 別の神社では、立ち入り禁止の「結界」に入ったり、狛犬に登ったりして撮影するケースもあったという。撮影時に、子どもに吹かせたシャボン玉が他の参拝者の着物を汚し、トラブルになることもある。