【東スポ杯2歳S回顧】クロワデュノールは今後の成長がカギに 500kg以上の優勝馬に気になるデータ
クロワデュノールの評価は
レース内容も重要だ。先手をとったのは3番人気サトノシャイニング。序盤の攻防では、外枠から無理やり抑え込み、ストレスを与えるよりはマイペースの方がよさそう。そんな判断とみる。 前半1000m通過は1:00.9と遅く、さらにその後の3、4コーナーでさらにラップが落ち、1200m通過は1:13.4と遅かった。中盤12.4-12.4-12.5が効いており、流れは完全に前残り。Cコースの芝も手伝い、前の馬は圧倒的にポジション有利の形だった。 クロワデュノールは中盤で緩んだ12.5で外からポジションを少しだけあげ、4コーナーを2番手で回り、直線は逃げるサトノシャイニングとの競り合いに持ち込んだ。北村友一騎手がクロワデュノールに絶妙なタイミングでサインを送った。ラスト600mは11.3-10.9-11.2。東京良馬場でスローとなれば、上がり33.4は驚くほどではない。 正直、サトノシャイニングに3/4馬身は着差がつきにくいスローとはいえ、ちょっと抵抗された感はある。もう少し突き放せば文句なしかもしれないが、有力の一角といった評価が妥当だろう。 だが、父キタサンブラックはイクイノックスで証明したように成長力が魅力。キタサンブラックはデビューから1度も500kg以下がない超大型馬であり、3歳秋以降に覚醒していった。大型といっても成長曲線は緩やかな部類でもあった。クロワデュノールも東スポ杯2歳Sを起点に成長し、パフォーマンスをあげていってほしい。 2着サトノシャイニングは序盤の攻防でレッドキングリーとけん制しあう場面で、先手を奪ったことが最後の粘りにつながった。逃げて上がりが33.5なら合格ラインにあり、さらに落鉄もあったとか。クロワデュノールが早めに動かなければあるいはと思わせた。最後は相手が悪かったといったところだろう。 3着レッドキングリーはインの2番手で上手に流れに乗ったが、最後は前を行くサトノシャイニングと同じ上がり33.5ではつかまえられない。10月東京開幕初日の新馬を0秒7差で圧勝したが、このときは稍重馬場。この新馬を走った馬がその後、未勝利を脱出してないのは気になるが、それ以上にレッドキングリーにとって現状ではやや軟らかい馬場が走りやすいのではないか。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳