金正恩「2024年の施政方針」6つの議題を読み解く
新年の祝賀イベントに登場した金正恩ファミリー(『労働新聞』HPより)
2023年12月26日から30日の5日間、朝鮮労働党中央委員会第8期第9回全員会議(総会)拡大会議が開催され、『労働新聞』12月31日付は12面構成のうち1面から9面にかけて詳報した。わが国メディアでは、3基の偵察衛星を追加で打ち上げる方針が示されたことに関心が集中したものの、金正恩発言は多岐に亘っており新年を展望するうえで重要な分析材料となる。 新年の施政方針は、金正日(キム・ジョンイル)時代は「新年共同社説」、金正恩(キム・ジョンウン)政権初期の2013年から2019年は「新年の辞」で発表された。2020年と2022年、2023年も前年末に全員会議を開催して1年間を総括し、新年の方針を示すという形式がとられたが、今回は12月30日に閉幕して翌31日にその詳報を出すという点で若干の変化が見られた。なお、2021年だけは金正恩による全人民への「親筆書簡」発表にとどまっていた。 2022年末の第8期第6回全員会議よりも1日短い会期となった今般会議では金正恩が司会を担い、(1)2023年度の党及び国家の政策執行状況に対する総括と2024年度の闘争方向について(金正恩報告、金徳訓[キム・ドックン]内閣総理、崔龍海[チェ・リョンヘ]最高人民会議常任委員会委員長らが討論)、(2)学生少年のための社会主義的施策執行で責任感を高めることについて(金正恩報告)、(3)党中央検査委員会2023年度事業状況について、(4)2023年度国家予算執行状況と2024年度国家予算案について、(5)現時期の党の領導的機能を強化するための一連の措置について、(6)組織問題(人事)――の6議題が扱われた。決定書採択の前に、「分科別研究及び協議会」と第8期第18回政治局会議が開催されたが、そこに金正恩は参加していない。
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礒﨑敦仁