断崖絶壁でなぜ…“世界で最も危険な住宅”巡り立ち退き求める市当局と対立 先住民族の「神聖な場所」で住民拒否 ボリビア
南米ボリビアで、落差61メートルの断崖絶壁のすぐ横に並んでいる住宅がある。住人たちは、何事もないように暮らしているが、“世界で最も危険”ともいわれるこれらの住宅を巡り、今、立ち退きを求める市当局と、それを拒否する住民の間で対立が起きている。 【画像】「崩れることはない」立ち退き拒否…一寸先は落差61メートル崖に建つ住宅
“世界で最も危険”断崖絶壁に建つ家
南米ボリビアの西部の都市エルアルト。カラフルな屋根の住宅が崖の縁と接するように一列に並んでいて、今にも崖の底にのみ込まれそうに見える。 まさに一寸先は崖。そのわずかな隙間に立って写真を撮る住民の姿もあった。 「怖くないか?」と尋ねると、住民は「いいえ、ここでは地滑りは起きません」と動じない様子だった。 落差61メートルの断崖絶壁のすぐ横で、何事もないように暮らす人たちだが、今、世界で最も危険ともいわれるこれらの住宅を巡り、立ち退きを求める市当局と、それを拒否する住民の間で対立が起きている。
市当局が立ち退き求めるも…住民が拒否
市は、地球温暖化による豪雨の影響などで土台が侵食されているとして、立ち退きを要求したが、住民たちは「崩れることはない」と拒否したのだ。 市の衛生担当者: ご覧の通り、崖の傾斜はほぼ90度です。60度以上はとても危険です。 住民: この場所はとても地盤が固く、崩れることはありません。雨が降ると少し流れますが、完全に崩れることは起こりません。 実はこの場所は、ボリビアの先住民族にとって、大地の母への供物を捧げる神聖な場所だという。 住民: 私たちはこの場所を離れるつもりはありません。なぜならここは私たちの日々の仕事場なのです。 住民は「儀式を行うことで土地が安定し、自分たちを守ってくれる」と話す。また、雨水を別の場所に流すなどの独自の対策をとっているそうだ。 危険な状況を改善したい市側と、古くからの神聖な場所を離れられない住民。地質調査の結果、この場所は強固な岩盤ではなく、砂と粘土質の土壌だったという。 市の衛生担当者: もし彼らが移転を拒否するなら、強制的に行うしかありません。 市側は、住民側に再度危険を通知した上で、それでも立ち退かない場合は強制的な手段をとる考えを示した。現地では、6日に大雨警報が出ている。 (「イット!」1月7日放送より)
イット!