鹿島ユース、圧巻のゴールラッシュで19年度以来となるプレミアリーグ復帰
12月10日、U-18高円宮杯プレミアリーグ参入プレーオフの2回戦が行われ、鹿島アントラーズユースがベガルタ仙台ユースを7-0で下して凱歌を挙げた。 【フォトギャラリー】青森山田 vs サンフレッチェ広島F.Cユース 序盤から猛攻を仕掛け、相手に付け入る隙を与えなかった。キックオフ直後、大きく右サイドに展開すると、MF三沢大和(3年)が仕掛けてゴール前に折り返す。最後はFW馬目隼乃介(3年)が押し込んで僅か30秒足らずで先制点を奪った。 勢いに乗った鹿島は攻撃の手を緩めない。7分にも左サイドを抜け出した馬目がボールを収めると、相手DFをうまく外して右足でシュート。これが決まり、さらに点差を広げた。その後も攻守で相手を圧倒。球際の勝負で競り負けず、強度の高いプレーで主導権を掌握。キャプテンのMF小倉幸成(3年)を軸にボールを動かし、サイドから攻め込んで多くのチャンスを作り出す。27分には壱岐健斗(3年)の左CKからFW大山幸路(3年)が頭で決めると、アディショナルタイムにも馬目がネットを揺らしてハットトリックを達成。前半だけで4ゴールを奪い、試合の趨勢を決定付けた。 後半に入ると、仙台がMF各務剛良(3年)を中心に巻き返しを図ってきたが、鹿島は慌てずに対応して主導権を渡さない。サイドの攻防で優位に立ち、最終ラインからボールを繋ぎつつ、状況を見てロングボールを相手の背後に蹴り込んで好機を生み出していく。62分には大山が加点すると、89分にと90+4分には途中出場のFW徳田誉(2年)が試合を締め括るゴールを決めて勝負に蹴りをつけた。 「非常に気持ちが伝わってくるゲームだった。最後の最後で最高のゲームをしてくれたと思います」 普段は手放しで選手を褒めない柳澤敦監督も、この日ばかりは選手たちのプレーに賛辞を惜しまなかった。今年のチームは春先から“最弱の世代”と言われ、特にフィジカル能力が例年と比べると物足りなかったという。そのため、筋力強化のメニューを増やし、選手たちからは「めちゃくちゃきつい」という声が度々聞かれた。しかし、誰一人として諦めることなくトライ。夏以降は安定した力を発揮し、このプレーオフに乗り込んできた。8日の初戦でMF平山京吾(3年)、U-17日本代表の右SB松本遥翔(2年)が負傷交代し、この仙台戦は欠場を余儀なくされても動じず、一体感のある戦いで歓喜の瞬間を迎えた。 「選手たちが頑張った。来年に向けて準備をしっかりしていきたい」(柳澤監督) 喜びを噛み締めた鹿島ユースにとって、プレミアリーグ参入は19年度以来。次のステージで戦うべく、来季は新たなスタートを切る。 (文・写真=松尾祐希)