追い詰められたときの判断で「重要なこと」「やっちゃダメ」なこととは?【里崎智也×五十嵐亮太のライフハックベースボール!】第35回
里崎智也×五十嵐亮太のライフハックベースボール! 日本を代表するレジェンドプレイヤーの2人が、野球からの学びをライフハックに翻訳、「生き抜く知恵」を惜しげもなく大公開。連載の第35回では、「追い詰められたときの判断」に関する考え方に迫ります! 【写真】里崎智也×五十嵐亮太 対談フォトギャラリー ■追い詰められた状況で考えるべきこと ----前回は「ストレスを感じたときにどうすればいいのか?」という話題となりました。続いて今回は「追い詰められたときはどうすればいいのか?」について伺いたいと思います。お2人とも、現役時代には何度もそのような経験があると思います。 五十嵐 絶体絶命の大ピンチの場面では「打たれてもいいから開き直って投げろ」とか、「ど真ん中でもいいから思い切り腕を振れ」って、野球解説者はよく言いますよね。僕自身も、「命まで取られるわけじゃないや」と開き直って臨んだ経験があります。その結果、抑えることもあったけど、もちろん打たれたこともありました。 里崎 僕も、基本的には「逃げない」ということは意識していたかな。弱気になって、つい安全策を取って、それで失敗したらやっぱり悔いが残るからね。現役時代の話だけど、2010年、中日ドラゴンズとの日本シリーズの最終第7戦、トニ・ブランコの打席のときもそうだった。「ずっとインコースにばかり投げてきたから、そろそろ打たれるかも」「少し甘くなったらホームランになってしまう」と、弱気になってアウトコースで勝負したら、あとわずかでホームランという大飛球を打たれてしまったことがある。結果的に勝利はしたけど、やっぱり、勝負事は弱気になったらダメなんだよ。 五十嵐 それまでデータ通りに投げて結果も出ているのに、こっちが「そろそろ打たれそうだ」と、勝手に動揺してしまうことはよくありますよね。でも、これも難しい問題だけど、「データがこうなっているんだから、データを信じて投げればいい」という意見もある一方で、「データはデータ。その場で感じた自分の勘やひらめきを大切にしたほうがいい」という意見もある。これは難しい問題ですよね。 里崎 そういうケースは本当によくあるよね。データでは「インコースが弱点」と出ているのに、勝手に「そろそろインコースも狙われそうだな」と、データに反してアウトコースを選択してしまう。これは誰もが経験していることじゃないのかな? 五十嵐 そんなふうに迷っているキャッチャーがいたとして、サトさんならどんなアドバイスをしますか? 里崎 まだ経験の少ないキャッチャーなら「データを信じて、思い切って勝負しろ」と言うかな。反対に、経験豊富なベテランキャッチャーなら「自分の直観を信じろ」とアドバイスをすると思うよ。