追い詰められたときの判断で「重要なこと」「やっちゃダメ」なこととは?【里崎智也×五十嵐亮太のライフハックベースボール!】第35回
■データも重要だが、最後は自分の感性や直観が頼りになる 五十嵐 それはどうしてですか? 里崎 こういうケースの場合、結局は"勝負勘"といったものが勝敗を分ける決め手になると思うんだけど、経験値が少ない選手ほど迷うものだよね。そういうときには「データ」という根拠を信じて勝負してみる。そうすれば、うまくいっても仮にダメでも、それが後々の経験になるから。 五十嵐 僕はずっとセットアッパーとして、試合を左右する大事な場面を任されてきたけど、"勝負勘"は本当に大切だと思いますね。それは、サトさんの言うように、経験を積めば積むほど磨かれていくもの。試合に出始めたばかりの若い選手よりも、百戦錬磨のベテランになるほど、「ここぞ」という場面での腹の括り方、肝の据わり方が違うのは間違いないですから。 里崎 勝負どころの見極めは、実際にやってみないと身につかないもの。いくら最新データを集めて戦略を練ったり、対策を講じたりしても、それはやっぱり机上の空論で終わってしまうケースはよくあるからね。そして、勝負どころでは「データ」や「定石」、あるいは「王道」といったものが通用しないケースも出てくる。 五十嵐 それが、最初に挙げた「データでないもの」、つまり、自分なりの「勘やひらめき」といったものですよね。 里崎 ではどうすればいいのか? こういうケースでは、僕は自分の感性を信じるようにしているな。データや定石、セオリーというものはもちろん大切だけれど、最後の最後に頼りになるのはやっぱり自分だから。 五十嵐 迷いながら選んだ道は、失敗したときに後悔が残るものだけど、「最後に頼れるのは自分なんだ」という部分さえ揺るがずに持つことができるのなら、それがどんな結果になったとしても、納得がいくものになる。僕もそう思います。 里崎 こうした場面で、迷うことなく自分を信じられるかどうかというのも、結局は経験の積み重ねだと思うんだよ。「のるかそるかの場面で勝負に出る」という経験が多ければ多いほど、その覚悟は強くなる。それが、さっき言ったように「若いうちはデータ中心、ある程度経験を積んだら、自分の感性を信じる」という意味でもあるんだよね。