2度目の起訴でもなお根強いトランプ支持…「本選で勝てない」ジレンマと「消去法」の大統領選
6月下旬、アメリカの首都ワシントンで、トランプ前大統領ら野党・共和党の大統領候補が揃って参加するイベントが行われた。現場の取材から見えたのは、共和党内でのトランプ氏への底堅い支持と、それがゆえに「大統領選で共和党が勝てない」というジレンマだった。(NNNワシントン支局 渡邊翔) 6月下旬、ワシントンで「多数派への道」と題された、野党・共和党系の団体が主催するイベントが開かれた。トランプ前大統領やデサンティス・フロリダ州知事、ペンス前副大統領ら、大統領選挙に出馬を表明している候補者がそろい踏みする、珍しいイベントだ。現場を取材して、各候補者の現状の勢いを比較した。
●変わらぬトランプ支持…一方で記者席に異変も
まずはイベントの大トリを飾ったトランプ前大統領。登場した際の会場の盛り上がりには、機密文書の扱いをめぐる2度目の起訴の影響を感じさせない「熱量」があった。今回のイベントはトランプ氏の集会ではないため、熱心な支持者以外の参加者もいたはずだ。それでも、2000人以上を収容する会場は演説中、たびたび歓声に包まれ、「USAコール」もあがった。 上機嫌で歓声に応えたトランプ氏は、13日に機密文書の事件で裁判所に出廷した直後と比べて、活力を取り戻したようにも見えた。「私はおそらく史上唯一、起訴されたのに数字(支持率)が上がった人物だろう」とアピールしつつ、機密文書の事件については、大統領に関する記録の扱いを定めた「大統領記録法」ではなく「スパイ防止法」に基づいて起訴されたことを「選挙妨害だ」と述べ、いつもと同じ反論を繰り返した。 会場の盛り上がりからトランプ支持の底堅さがうかがえる一方、演説を取材する記者席には「異変」が起きていた。テレビカメラの数の減少だ。5月にCNNがトランプ氏との対談を生放送して「主張を好き放題しゃべらせた」と議論を呼んで以降、主要メディアはトランプ氏の発言を生放送で伝えることはなくなっている。それでもトランプ氏の演説には海外メディアも含めて、多くの取材陣が集まるのがお馴染みの光景だった。起訴の影響なのか。断定はできないが、気になる変化ではあった。