2度目の起訴でもなお根強いトランプ支持…「本選で勝てない」ジレンマと「消去法」の大統領選
●対抗馬の「トランプ批判」は控えめ…共和党が抱えるジレンマ
NBCが行った最新の世論調査では、トランプ氏が2度目の起訴後、共和党内のライバルとの差を広げ、支持をさらに伸ばす結果となった(トランプ氏51%、デサンティス氏22%、ペンス氏7%)。 一方で別の設問では、「トランプ氏以外の政治家が共和党を引っ張って欲しい」と答えた人の割合も50%に上っていて、トランプ氏支持(49%)と拮抗している。こうした中、対抗馬であるデサンティス氏やペンス氏が、どこまでトランプ氏を直接的に批判するのか。この点に注目して演説を聞いた。
まずは初日に登場したペンス氏。「トランプ大統領がこの国のためにしたことに、私は常に感謝している」と、トランプ政権の取り組みじたいは肯定しながらも「大統領と私には意見の相違があった」と明言。「選挙は未来のためのものだ。時が異なれば、求められるリーダーシップも異なる」と述べ、トランプ氏との決別を改めて強調した。また、ペンス氏は人工妊娠中絶をめぐり、妊娠15週以降の中絶を連邦レベルで禁止することを、共和党の大統領候補者らが「最低ライン」として公約するべきだと主張。自身の支持基盤でもある宗教保守層にアピールした。 一方のデサンティス氏は、初日のヘッドライナーとして登場。コロナ禍からの経済回復や教育政策など、自身の知事としての実績をアピールできる話題に演説の大半を割いた。トランプ氏への言及や批判は避けたことで、トランプ氏への対決姿勢という意味では物足りなさの残る演説だった。 デサンティス氏の側近のひとりは、トランプ氏への起訴が重なり、共和党支持者が「トランプ疲れ」するタイミングで、反トランプの姿勢を一気に鮮明にする戦略を描いていると語る。ただ、2度目の起訴でも、少なくともトランプ氏の岩盤支持層は離れる気配はない。まだ複数の事件で起訴されるリスクを抱えるトランプ氏だが、この側近は「次の起訴のタイミングが遅くなり、来年の予備選のスタートに近づくほど、トランプ氏に有利になって来る」とも指摘し、トランプ氏に勝つ難しさをにじませた。 今回のペンス、デサンティス両氏の演説は一定の盛り上がりは見せたものの、トランプ氏の演説のような「熱量」には、やや欠けた印象だった。会場では、トランプ氏を真正面から批判する演説をした別の候補者がブーイングを浴びる場面もあった。 ただ、前述のNBCの世論調査では、トランプ氏とバイデン大統領の対決を想定した設問で、トランプ氏(45%)はバイデン氏に(49%)に僅差で敗れる結果となっている。アメリカメディアや専門家の間では、2度目の起訴で無党派層がさらに離れることから「共和党予備選でトランプ氏が勝っても、本選挙ではバイデン氏に勝てない」という見方が依然、支配的だ。共和党が抱えるこの「ジレンマ」に、今のところ答えはない。