石巻の新しい生態系。もやもや女子が描く「おもしろい町」
取材してわかったリアルな石巻(取材後記)
取材をしながら、あれ?と、思った。 渡邊さんを始め、6人に取材した。みな、迷い悩みながら手探りで歩んでいた。遠くから見えていた姿と、近くで見た実際の姿は、当たり前のことかもしれないけれど違っていた。 時には地域のしがらみ、うまくいかないことや批判もあるけれど、前向きに捉え、解決するよう努力して取り組む姿勢は共通していた。彼らは口々にいった。 「誰かがやってくれないかなと待っているよりも、気づいた人からやっていくしかない、と気がついてしまったんだからしょうがない」。そしてこう続ける。「加除修正しながらやっていく」「探っていくしかない。取り組んでみて違和感がある、違うようなら変える。その繰り返し」 渡邊さんは、「やる気のある人の生態系ができるのを支えたい」といっていた。支えるだけでなく、渡邊さんたち自身が、彼女たちが設立した企業や団体が、コミュニティの核となる役割を果たしつつあるように私には見えた。静かに熱気が渦巻いているのを感じた。 それを生み出したヒントは、取材中に幾度となく聞いたこの言葉のように思う。 「できないことなんてない。やったことがなかっただけ」 自分への問いかけとして今も私の心に響いている。 (この記事はジャーナリストキャンプ2016石巻の作品です。執筆:安部静香)
安部静香