母の愛情とかけた手間 数々のお手製の洋服に感動の声 そして娘は和裁職人の道へ 「母から学んだものづくりの姿勢を貫いていきたい」
「来年80歳を迎える母が、私に作ってくれた服を数えたら何枚になるんだろう…」とコメントを添えてXに投稿された、手作りの洋服の写真が話題になっています。まるで既製品のような見事な出来栄えもさることながら、「心を込めて作ったのが伝わる丁寧な縫製」「ひとつひとつに思い出がこもっているんだろうな」と母から子への愛情に感動したとの声も多く寄せられました。 【写真】横線をピッタリとあわせた柄合わせや生地とあわせたカフスボタンが素敵です 投稿したのは、和裁技能士の宮西千晴さん(@KimonoNuibito)。Xの投稿が思わぬ反響を呼び、「驚くとともに、母の技術ってすごいんだ~貴重なんだということに改めて気付かされました。母には、趣味のものづくりを、ずっと楽しんでいてほしいと思っています」と話してくれました。宮西さん自身は、洋裁ではなく、和裁の道へ進んでいます。 来年80歳を迎える宮西さんの母は、現在も楽しくものづくりを続けており、今はリュック作りがブームとのこと。 販売できるのでは?と思うほどの出来栄えに、宮西さんが「売ってあげようか?」と尋ねると、母からは「売れるほどのものは作れていないし、プロの人の迷惑になるから売らない」と返ってきたそうです。そんな母の姿勢から学び、「プロの和裁技能士として、生半可な仕事はできない」と自身の仕事に向き合う宮西さんに、詳しく話を聞きました。
母が作ってくれる服は、すべてが胸踊る”ときめき”服
Xでの反響を受けて、「写真を撮ってあるもの大放出!」と宮西さんの母がこれまでに仕立てた大量の洋服を追投稿した宮西さん。和裁学校の入学式のために作ってもらった服や、シルエットが美しい鮮やかなワンピースなど、どれも素敵な1点ものです。 「その中でも、特に宮西さんのお気に入りの洋服はありますか?」と尋ねると、「難しい質問ですね…」と返ってきました。 「母が服を作るというのは日常的なことで、私がレディブティック(ブティック社出版の型紙を掲載している雑誌)を見て、この生地はこの服にしてね、と好みの服を作ってもらっていたので、嫌いな服はないのです。それでも、捨ててしまった服もあるので、写真に撮った服はどれもお気に入りで、よく着ていた服です。”ときめき”だったり、”キュンキュン”という言葉があっているかもしれないですね」 服選びは既製品から選ぶことが一般的ですが、物心ついたころから、服選びといえば、まず好きな生地を選び、好きな服を本から選んで母親に作ってもらっていたという宮西さん。「今思えば、すごく贅沢だったんですね」とコメントを添えたXのポストには、「懐かしい!ウチの田舎にも、近所に仕立てもしてくれる生地屋さんがありました」「私の母も洋裁好きでたくさん縫ってくれました」との共感する声も寄せられました。