オリオールズ野手 ヤンキース・田中の過熱報道をあざ笑う
メジャーが示すプライド
日本のプロ野球に敬意を示しつつも、メジャーのプライドを示してみせた。これこそ、メジャーでレギュラーを張ってきた主力選手が、新人の田中に対して共通して持っている本音の感情だろう。心の中では「なんぼのもんじゃい!」と思っている選手は、結構、多いはずだ。それが田中にとっては、相手の力みとなって、プラスと働くなるのか、それとも打者の集中力が増して、田中のマイナスとなるのか。 95年に野茂英雄投手が海を渡って以来、多くの日本人がメジャーで活躍を重ねて、日本人選手の評価が高まった。その結果、米国市場で日本人投手の価値が高まっていき、07年の松坂大輔が、5100万ドルの入札金と年俸を併せて“1億ドル(約104億円)”を越える大型契約でレッドソックスと契約した後は、井川慶、高橋尚成ら、次々に日本の野球界のスター選手がかなりの好契約でメジャーに移籍した。 12年からは、ダルビッシュ有が、5170万ドルで入札したレンジャースに総額6000万ドル(約62億円)の6年契約を結び、ポスティング制度が新しくなった今年の田中は、入札料2000万ドル(約20億円)に加えて、年俸総額だけで7年1億5500万ドル(約163億円)という大型契約を結んでいる。 そこまで球団が大金を投じた選手に対して、「果たして、実力はどうなのか」「通用するのか」といった声が、メディアやファンの間から起こることは、田中も十分に覚悟していることだろう。だが、最も、やっかいなのは、同じフィールドに立つメジャーリーガーの間からも、そういう声が上がることだ。表立ってはなくとも、チームメイトからそういう目でみられることもあるかもしれない。鳴りもの入りで入団した新人が、“やっかみ目線”でみられることは、ある程度、仕方がない。当分の間、「さて、お手並み拝見」という、やや引いたスタンスで田中に対峙してくる選手は多いだろう。ジョーンズのコメントも、ある意味、メジャーの“洗礼”とも言えるものである。