盲学校に「動物園」開園 実物大、精巧な模型32体 埼玉の男性が寄贈
●児童生徒が感触確かめる 金沢市小立野5丁目の県立盲学校に25日、実物大で精巧な動物の模型32体を集めた「動物園」が開園した。目の不自由な子どもたちに動物に触れてほしいと埼玉県の男性が寄贈し、児童生徒はなでたり、抱きついたりして大きさや感触を確かめた。 模型は「いしもう動物園」と名付けられた多目的室に収められた。体長1・4メートルのトラやライオン、体高1・7メートルの子どものキリンといった大型の動物、リスやネズミ、スズメなどの小動物が並んだ。 寄贈したのは埼玉県寄居町の田中博さん(75)で、20代の頃、電車通学する盲学校の生徒を見て「自分より若いのに大変な苦労をしている。力になりたい」と思い続け、2年前に全国の盲学校に模型を送る活動を開始。今回で4校目となった。 児童生徒12人が参加して開園式が行われ、東智津子校長から田中さんに感謝状が手渡された。生徒会長の窪園颯介さん(高等部1年)が「みんなでたくさん遊んだり、学んだりしたい」とあいさつした。 学校によると、視覚障害のある人は手で触れることで物の形などを認知するが、動き回る動物はじっくりと触ることが難しい。かまれたり、引っかかれたりするとして怖がるケースも多く、動物にほとんど触れたことがない児童生徒も多いという。 徳田健太郎さん(高等部2年)はライオンのたてがみや口に触り、「すごく迫力がある。さすが百獣の王」と感心しきり。子どものキリンに触れた飴谷凛さん(中等部2年)は「かんだりすることはないので怖くなかった。想像していたより大きくて驚いた」と笑顔を見せた。田中さんは「反応が不安だったが、喜んでくれて本当によかった」と目を細めた。