ビジネススキルも身につく異色サッカークラブ 公式戦には出ず屋台運営で子供の自主性育成
試合は自由参加で、1カ月以上前に日程を発表する。佐々木さんは「人間的な成長を考えると、旅行など家族のイベントや他の習い事も大事にしてほしい」と説明する。
■実体験で学ぶ
令和2年頃からサッカーの指導とともに、ビジネス教育も行っている。子供たちと接するうち、「社会で活躍できる大人になって、幸せになってほしいとの思いが強くなった」と佐々木さん。自身のクラブ運営経験を踏まえ、「ビジネスの基本なら教えられるのでは」と考えた。新型コロナウイルス禍の最中だったこともあり、年金や金利の仕組みを分かりやすく教えるといった子供向けオンライン授業を始めた。
そんな中、地元の備前国総社宮(岡山市中区)の武部一宏宮司から「夏祭りに子供を集めて盛り上げてほしい」と相談され、「神社を好きになってもらうには仕掛け人にするのが効果的」と判断。屋台の自主運営を提案した。
「お店屋さんごっこではなく、実体験でビジネスを学ばせたい」(佐々木さん)と、ビジネス講座を開き、損益分岐点や原価計算、事業計画の立て方などビジネスの基本を教えた。
屋台の自主運営を始めた4年の希望者は5人だったが、3年目の今年は22人に増え、くじ引きやダーツ、輪投げなどの屋台を営んだ。
今年からは岡山市のスタートアップ支援拠点の協力を得てプレゼン形式での報告会が加わった。1グループ5分の持ち時間で、屋台の説明や収支報告、運営の総括、参加の動機、全体を通して学んだことを発表した。
参加した6年の竹内健勇さん(12)は「いい経験になった。大人になってからビジネスでこうやればということが学べた」と満足そうな表情。佐々木さんは「全員がプロ選手を目指すわけではないので、いろいろな子供の受け皿となり、優秀な社会人を多く輩出できれば面白い」と話している。(和田基宏)