<ラグビー>2年目サンウルブズは日本代表強化のために何がどう変わる?
2016年度のサンウルブズに在籍した中心選手には、休養や海外オファーの受諾を検討している選手が複数いる。現実問題として、かようないい選手の笑顔とサインを引き出すには、相応の予算が必要だ。 しかし、予算拡張のために渡瀬CEO代理が請われたのは最近のことだ。現状では日本協会からのバックアップが乏しいなか、各選手との交渉が進められているのだ。 選手選考に関する問題は、ずっと前からあった。 田村誠ゼネラルマネージャーら多くの幹部は、ジャパンのジョセフヘッドコーチの意向を受けてメンバーを選びたかった。それでもジョセフヘッドコーチが日本のラグビー選手のことを直に観始めたのは、9月に来日してからのこと。その前から互いに連絡を取っていたとはいえ、例えばその時から「トップリーグ下位チームの隠れた名手」に関する知識を共有していたとは考えにくい。選手の関係者によれば、優先的にオファーすべきメンバーの絞り込み作業も、決してスムーズではなかったとされる。 10月3日、ジョセフヘッドコーチと薫田真広・男子15人制日本代表ディレクター・オブ・ラグビーが選んだ新しい代表スコッドを発表。なかには15人のノンキャップ(テストマッチ=国同士の真剣勝負への未出場者)が含まれていた。 会見中、ジョセフヘッドコーチはそのことに触れ、「新しいプレーヤーに新しい挑戦の機会が与える。彼らにサンウルブズでも戦ってもらうことを念頭に置いています」と発言。理論上は真っ当だが、ジョセフヘッドコーチは今回、安藤泰洋や茂野海人ら2016年度のサンウルブズで成長した中堅選手を当該のスコッドから外している。そもそものセレクション基準については、引き続き議論が求められよう。 2017年度のサンウルブズは、ニュージーランドカンファレンスの5チームとも対戦予定だ。そのうち4チームはプレーオフに進出しているだけに、道は険しくなること必至だ。 この日、ティアティアヘッドコーチは「メディアの方には、これからサンウルブズが大変な戦いをすることを伝えていただきたい」といった旨の発言を繰り返した。 引き続き横たわった問題を処理しながら、ファンに愛されるクラブとして代表を支える。 (文責・向風見也/ラグビーライター)