梅雨の今も要注意!「熱中症に扇風機が危険」という“衝撃”の研究結果 高齢者こそ積極的に「クーラー」使うべき
結果は意外だった。扇風機を用いたほうが心拍数、深部温度ともに上昇し、その差は統計的にみても有意差があった。 このような結果になったのは、体温を超えた室内の空気を、扇風機が継続的に送り続けるからだろう。夏場にクーラーを使わなければ、室内の温度は容易に体温を超える。このような環境下で、クーラーなしで扇風機を使えば、命を危険にさらすことになる。 ただ、これは若年者では状況は異なるようだ。 2015年2月にカナダの医師たちが『JAMA』に報告した研究では、平均年齢23歳の若年者で扇風機の熱中症予防効果を検証したが、扇風機にあたったほうが深部体温は低下していた。
これは発汗能力の差による。若年者では、熱風を吹き付けられても、扇風機が体表周囲の湿った空気を吹き飛ばすことで発汗を増やし、体温を低下させるのだろう。 扇風機との付き合い方も、年齢によって、こんなに違ってくる。 猛暑の際、高齢者がエアコンを避け、扇風機に頼ることは熱中症のリスクを高めることを認識すべきだ。高齢者がエアコンを気兼ねなく使えるように電気代への配慮は必要だし、また高齢者が不快感を覚えないエアコンの開発も必要だ。
上 昌広 :医療ガバナンス研究所理事長