梅雨の今も要注意!「熱中症に扇風機が危険」という“衝撃”の研究結果 高齢者こそ積極的に「クーラー」使うべき
■高齢者は「暑さ」を感じにくい? このような対策に加えて、日本の夏に必須なのはクーラーの使用だ。設定温度は個人差があるだろうが、28℃以下が望ましい。 ところが、高齢者の中には、クーラーを嫌う人が少なくない。 やや古いが、みずほ情報総研が2014年に実施した東京電力管内に住むおよそ960人を対象とした調査によると、エアコンを使わない人の割合は20代が18%、30~50代が30%前後であるのに対し、60代で35%、70代では39%だった。
節電意識に加え、加齢とともに体温調整機能や温度を感じる機能が低下するため高温になっても気づかず、加えて エアコンをかけっぱなしにすると体が冷え切って、不快感を抱くからと考えられている。 少なからぬ高齢者はクーラーを使わず、扇風機に頼るが、その扇風機は決して安全とはいえない、ということがわかった。 もっとも信頼性の高い医療情報を提供している「コクランレビュー」によると、「扇風機の使用は、『熱波中』に健康に与える影響について、一貫した結論が出ていません。特に気温が35℃を超えると、扇風機は脱水を促進し、逆に体温を上昇させる可能性がある」と記されている。
熱波中とは、真夏に猛暑日(最高気温35度以上の日)が続くことをいう。 昨夏、東京の猛暑日は22日を数え、観測史上最多だった。東京に熱波が襲っていたことになるが、このことはほとんど社会で議論されなかった。 コクランレビューとは、医療分野の研究を体系的に評価し、エビデンスに基づく結論を提供する組織だ。そこに記載されている内容は、世界中の医師が信頼し、日常診療で参考にしている。 ■扇風機が熱中症リスクを高める理由
なぜ、扇風機が熱中症のリスクを高めるのか。 2016年9月、テキサス州の医師たちが、アメリカ医師会誌『JAMA』に発表した研究が興味深い。 この研究では、平均年齢68歳の高齢者9人を対象に、男性はショートパンツ、女性はショートパンツとスポーツブラの格好になって、42℃に設定された室内で座ってもらった。湿度は30%で30分、その後5分ごとに2%ずつ最高70%まで上昇させた。 これを扇風機あり・なしの場合に分けて繰り返し、深部体温や心拍数などを記録した。扇風機は16インチのものを、被験者から1メートルの距離に置いた。