多部未華子インタビュー 頭の中をそのまま描いている気がして凄く感動した『インサイド・ヘッド2』
世界中を感動に包んだ『インサイド・ヘッド』(2015)。第88回アカデミー賞長編アニメーション賞ほか多くの映画賞を受賞した傑作の続編が、9年の時を経て公開。早くも歴代アニメーション映画全世界興行収入No.1ヒットとなり、大きな話題を呼んでいます。主人公の【ライリー】も13歳になり、大好きな友達と離れて高校入学という人生の転機を迎えることに。そのタイミングで現れた新たな<大人の感情>たちにより、頭の中は大渋滞。友人関係はもちろん、認められたい、期待に応えたいという思いから【ライリー】は自分らしさを見失ってしまうのです。さて、今回は、本作の新キャラクターである重要な感情のひとり【シンパイ】を演じた多部未華子さんに、ご自身の「感情の変化」についてお話を伺います。 ――私は早い段階で試写に行って、ボイスキャストをチェックしていない状態で映画を観たんです。だから凄くビックリしたんです。 本当に最後の最後、エンドロールでボイスキャストを知ったんですか?? ――そう!(笑)。映画を観ながら“【シンパイ】というキャラクターが気になって、声を担当しているのは誰だろう?” と思っていました。すごく印象に残る声で。だからいつもの声との違いに驚きました!多部さんは出来上がった映画を観て、どう感じましたか。感想も教えて下さい。 声を録っている時は私自身がいっぱいいっぱいで、収録中は全部を冷静に観ることは出来ませんでした。出来上がった作品を観た時、話の流れは知っていましたが、色々なキャラクターの細かな台詞とか初めて観たので、新鮮に観られたし、自分の声がどうとかではなく、冷静に物語として感動して楽しむことが出来ました。 ――私は多部さんが声を担当された【シンパイ】が大好きでした。 本当ですか(驚)傍から見たら『インサイド・へッド2』に登場するキャラクターの中では、一番悪役っぽくも見えるような個性的なキャラクターですよね。行動だったり発言から、“このキャラクターは悪役なのかな?”という思いが、正直ずっと声を収録している時にありました。それに監督からも「もう少し“何かこの後やらかしてしまうぞ”というニュアンスをのせて欲しい」という指示があったんです。でも、出来上がった作品を観たら、凄く愛おしいキャラクターになっていて“良かった”と思いました。 ――私は『インサイド・へッド』のキャラクターの中で、自分の中に一番いるキャラクターは誰だろう?と毎回考えるんです。これまでは“まぁ【ヨロコビ】かな?”って思っていて、でもこの映画を観て“うわぁ【シンパイ】だ”と気づきました(笑)。 え?さとりさんが?(笑) ――子どもが出来てからめっちゃ心配性になって 意外です、全然見えないです(笑)。“自分ってそうだったんだ”って気づいたんですか? ――子どもに関しては特にそう。頭の中に【シンパイ】が2人~3人いる感じです。 え?さとりさんが(驚)。 ――だから、ほんとそうなの(笑)で、多部さんはどのキャラクターが頭の中にいますか。 確かに、『インサイド・へッド』って本当によく出来ていますよね。どのキャラクターも頭の中に存在しているんですけど、私は何だろう‥‥、そうだなぁ、誰だろう‥‥。 (ポスターを見つめて) あっ、どんなときも退屈で無気力キャラの【ダリィ】かな。常にいるキャラクターは【ダリィ】ですが、現時点は【ヨロコビ】です(笑)。 ――【ダリィ】は片時もスマホを手放しませんが、イイ味を出していますよね(笑)。 【ダリィ】は大事な事を意外と教えてくれるんです。 ――ボソボソとイイ事を言うんですよね(笑) そうなんです! ――声優という仕事に対してはいかがですか? 特殊ですよね。これまでも何回か声優というお仕事をやらせて頂きましたが、毎回毎回“やっぱり難しい”と思っています。周りの声優さん達と並んで自分がその中に入るというのは‥‥、演じるという意味では一緒かもしれないですが、声だけというのは、やっぱりあまりにもジャンルが違うので本当に難しいです。いつも学びと挑戦という気持ちでいます。