来年に迫る保育園の「2025年問題」 需要ピークアウトで「突然閉園」急増の恐怖!
閉園に立ちむかった保育士たち
保育園の職員や、保護者も、突然閉園に対してなすすべはないのだろうか。じつは印西市の事件では、保育士たちが介護・保育ユニオンに加入し、保護者と連携して、突然閉園の被害を最小限に食い止めようとした。 保護者と組合員の保育士たちで、鍵を付け替えられた保育園に押しかけ抗議を行った。園の中で待機していた本社の社員は当初、保育士たちに対し、頑なに「園内には入れることができない」と繰り返すばかりだった。それに対し、「こんなことをして恥ずかしくないのか」と、保護者たちが詰め寄り、率先して抗議をした。その結果、保護者だけでなく保育士たちも園内に入って自分の荷物を取り戻すことができた。 また、転園が決まっていない子どもたちのために、組合員の保育士たちと私たち介護・保育ユニオンは、近くの公民館を借りて「自主運営」という形で、転園するまでの数日間、子どもたちの保育を行うことにした。 閉園の阻止・撤回こそできなかったものの、利益優先で、福祉を蔑ろにする会社に対し、保護者と連携して一矢報いたこと(ユニオンでは記者会見も実施し、マスコミで大きく取り上げられた)、また小規模ながらも、経営者がいないまま、保育園の職員たちと保護者が連携して、「自主運営」という珍しい取り組みが行われたことも特筆すべきことだった。ビジネスの論理でしか保育園を運営しようとしない経営者たちに、一石を投じた出来事だったといえよう。 「突然閉園」は今後、全国で相次いで発生する可能性が高い。この現状に対して、法律の改正や、自治体の積極的な対策はもちろんだが、保育士や保護者が行動を起こすことが非常に重要になるはずだ。
三浦 かおり(介護・保育ユニオン共同代表)