再生工事をすれば何十年と住める? 安心して“古民家暮らし”を始める方法
古民家で暮らすために必要なお金や手続きは? 施工の実例とあわせて、一級建築士の松井英子さんにお話を伺いました。 (取材協力:認定NPO法人日本民家再生協会) (取材・構成・文:クリエイティブ・スイート) ※本稿は、月刊誌『PHPくらしラク~る♪』2024年2月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。 【松井英子(まつい・えいこ)】 一級建築士・松井建築研究所副代表、認定NPO法人日本民家再生協会相談員。一級建築士として古民家再生の相談、設計、建築に取り組む。長き時を人々の生活と共に生き抜いてきた民家の力強さ、よさを現代に生かしつつ、耐震診断、耐震補強に力を入れた民家再生を行なっている。
古民家を探すことが、最初の一歩になる
古くて木組みのあたたかみのある古民家での暮らしって憧れますよね。でも、古民家での生活は田舎暮らしとセットというイメージはありませんか? 田舎で生活をしたいなら問題はないと思いますが、田舎に住みたいとは思わないな、という人もいるはず。じつは伝統工法(木組み)でつくられた、古民家は好きな土地に移築することもできるんです。 土地や建物をもっていない場合は、誰かからゆずり受ける必要があります。古民家を「ゆずりたい」人と「ゆずり受けたい」人をつなぐサイトを利用しましょう。日本民家再生協会でも「※民家バンク」というページで、いろいろな地方の古民家が紹介され、引き取り手を探しています。 ※民家バンクHP https://minka.or.jp/minkabank
必要な工事と時間は「建物の状態次第」
一般的には、日本の伝統工法(木組み)でつくられた家を、古民家と呼んでいます。昔の建物は、襖などの建具を取ると全部の部屋がつながるつくりになっています。広々と使うことができますが、耐震性のある壁が少なく、耐震工事が必要です。 ほかにも、基礎の補強工事や寒さ対策などの工事が必要ですが、しっかりとした再生工事を行なえば、何十年と快適に生活できます。そのためにどんな工事が必要か、入念な事前調査が必須です。 また、伝統的な工法を取り入れる場合は、特別な構造計算や手続きが必要となり、より時間とお金がかかります。古民家は再生方法により苦労する点は変わりますので、どんな家に住みたいのかよく考えることが一番大切です。詳しくは後半で解説します。