トヨタ本体でも不正発覚でGDPにまた打撃?今年1~3月期マイナス成長はダイハツの不正も一因
子会社だけじゃなかった。 日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機と立て続けにトヨタグループで発覚した不正が、トヨタ自動車本体でも行われていた。 【写真】豊田章男会長も欲しくなる?「小さな高級車」新型レクサス LBX…まずは会長試験をパス! 車の大量生産に必要な国の認証「型式指定」で不正が相次いだことから、国交省が今年2月、自動車メーカーや装置メーカーなど85社に社内調査を指示。その中間報告で、トヨタの7車種で不正があったことが分かったのだ。 他にも、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機の4社で不正があったと報告を受けたと、国交省が3日、明らかにした。不正は計38車種、500万台超に上る。5社はいずれも安全性に問題はないとしている。 トヨタは3日に豊田章男会長が会見。「トヨタグループの責任者として心からおわびする」と謝罪し、「認証制度の根底を揺るがすもので、自動車メーカーとして絶対にやってはいけないことだ」と強調した。 トヨタグループの不正が子会社だけじゃなかったこと、ホンダやマツダなどにも広がっていることで、自動車業界は大丈夫なのかと心配になってくる。 「開発サイクルが短くなっているうえ、人手も減っているため、過去のデータを利用するということが起きている。結果として事故につながらなかったという慢心も蔓延している」(経済ジャーナリスト・井上学氏) 不正があった現行生産車は即座に出荷停止だ。ホンダとスズキは現在は生産されていない車種だが、トヨタ3車種、マツダ2車種、ヤマハ1車種について国交省は出荷停止を指示した。 これで気になるのがGDP(国内総生産)への影響だ。今年1~3月期のGDPが2四半期ぶりのマイナス成長となった一因として、ダイハツなどが不正発覚を受けて製品の出荷を止めたことが、車の消費や設備投資に影響したと解説されているからだ。 ■豊田章男会長も取締役再任に暗雲が… トヨタは当面、2工場の計2ライン(年間13万台生産)を止める。調査は6月末までかかり、仕入れ先1000社以上に影響が出る可能性がある。 「不正があったダイハツでは、車種によって生産停止期間は4カ月~1年だった。今回はどの程度になるのか。3カ月くらいだとしても、4~6月期や7~9月期のGDP、下手したら年間GDPにもマイナス要因となるでしょう」(井上学氏) 国交省は4日にトヨタに立ち入り検査し、行政処分を検討する。豊田会長個人にとっては、今月18日の株主総会での取締役再任への逆風となりそう。米国の議決権行使助言会社2社が「相次ぐ不正は豊田会長に責任がある」との理由で再任「反対」を推奨している。今回のトヨタ本体での不正発覚で、「外国人投資家中心に反対票がさらに増える」(金融関係者)とみられる。