元中日のチェンが示すメジャーで生き残る方法
オリオールズでメジャー4年目を迎えた元中日のチェン・ウェイン(29)。自慢の4シームとスライダー、カーブなどを織り交ぜ、昨年は16勝して、プレーオフ進出に貢献した左腕が、今季のキャンプから取り組んできたのが、新チェンジアップの習得だ。 昨年は、右打者に対して親指と人差し指をOKサインのようにするサークルチェンジを投げていたが、今季から3本指で握るように握りを変えた。その結果、変化自体は小さくなり、落差はさほど大きくないが、急な減速が可能になる。また、制球がし易くなる効果がある。 「落とすというより、急に遅くなるイメージ。スピードガンではなくて、打者目線でスッと速度が落ちる感じを求めています。空振りを取らなくてもいい。わずかな変化で相手のタイミングを外すのが狙いです」 親指を折って中に曲げることでグリップも安定し、直球のように腕が振れるようになってきたという。今季第3戦目となった20日のレッドソックス戦は3失策も絡んで自責0も5失点と不運な初黒星を喫したが、今季初登板のタンパ戦(4月7日)では同球種として自己最多の19球を投げ、続くヤンキース戦(4月13日)ではベルトラン、テシェイラら強打者との対戦で効果を発揮し、着実に手応えを掴んでいるようだ。 古くは故・伊良部秀輝、石井一久、最近では松坂大輔ら日本球界からメジャーに挑戦した先発投手が入団当時は華々しく活躍しても3、4年目を境に成績が降下する例がみられる。そんな中、広島に復帰した黒田博樹はシーズンを重ねる毎に地道な改良、修正を加えつつ、進化を遂げながら、メジャーで7年間安定した成績を残した。メジャーで生き残っていくためには必要なことなのだろう。昨年好成績を残したチェンも現状に甘んじることなく、新たな課題を掲げてキャンプに臨んだ。 「昨シーズンが終わった時、自分の球は簡単には打たれないけれど、球数が多くなって長い回を投げ切れないという反省が残りました。1試合平均で30球くらいのファウルがあるし、1人の打者に10球以上粘られることもある。ファウルを減らせば、もう1イニング長く投げられると思ったんです」