体調不良のペットへの"療法食"市場が急拡大、今になって伸長するワケと"売れ筋商品"
■療法食が売れるのはペットの寿命が伸びてるから
ペットラインが設立されたのは57年前のこと。1970年代から国内でも療法食が知られる様にはなる。それでは、なぜ近年になって療法食市場が大幅に伸長したのだろうか。 「獣医療の発展とともに犬や猫の健康寿命が伸びているのが最大の理由ではないでしょうか。寿命が伸びると病気になるリスクは高まります。これに比例する形で療法食の需要が高まっているのだと思います」 現にペットフード協会が23年に実施した調査によれば犬の平均寿命は14.62歳、猫の平均寿命は15.79歳と、それぞれ10年比で0.75歳と1.43歳伸びているのだ。売れ筋となるのはどのような商品なのだろうか。 「犬も猫も尿石を中心に泌尿器科系の症状へと向けたペットフードが売れています。当社では動物病院で獣医師さんの診察を受けてもらった上で、それぞれの状態にあった療法食を提供するような販売方法にしています。そのため、商品は動物病院や公式サイトでしか購入できません。犬や猫は体が小さい分、食事の影響を受けやすいですから」 ペットを対象とした療法食の販売に法的な規制はないため、他メーカーの商品はホームセンターや大手ネット通販でも消費者は気軽に購入することができる。一般的には販売場所が多ければ多いほど、企業の売り上げが増えると目される中で、ペットラインはなぜ販売方法を限定することにしたのか。 「獣医師の指導を受けた上で、飼い主さんがペットに食事を与える。こうすることで病気のペットに必要な栄養成分が入ったフードを専門医の診断の下できちんと与えることができます。この販売経路のお陰で病気のわんちゃん、ねこちゃんに適切な療法食を効率よく与えることができると考えます」 フードを購入するには獣医師に診察をしてもらう必要があるため、飼い主によっては少しハードルを感じるかもしれないが、ペットの健康を第一に掲げた戦略が動物病院の支持を得て、現在では国内におけるペット向けの療法食市場で2位を争うペットライン。人間だけでなくペットも長寿社会を迎えた今、療法食は愛犬家や愛猫家から更なる支持を得られるか。
ピンズバNEWS編集部