「検察なめんな」と怒鳴る、机を叩く… 「拷問」のような取り調べはなぜなくならないのか
山岸氏は大阪地検特捜部の検事を証人威迫容疑などで刑事告発したが、大阪地検は不起訴とした。このため、山岸氏は、部下の取り調べをした田渕検事を審判に付すよう裁判所に訴えていた。付審判は公務員に対する告訴や告発をしても、検察が不起訴とした場合に、裁判所に直接、罪を問うよう求める制度。大阪高裁の決定を受け、田渕検事の罪を問う刑事裁判が開かれることになる。 これとは別に、山岸氏が違法捜査だとして国に損害賠償を求めた訴訟では、証人として出廷した田渕検事は、「検察なめんな」という発言について、 「不穏当な言葉ではあった」 と認めている。 ■黙秘する被告に「人格を疑われるで」 そして、今年11月13日には、太陽光発電関連会社「テクノシステム」社長の生田尚之被告が、東京地検特捜部から「拷問のような取り調べを受けた」として、取り調べをした堀木博司検事を特別公務員暴行陵虐容疑で刑事告訴した。 生田被告は金融機関から金をだまし取ったとして詐欺罪などで特捜部に逮捕・起訴された。この事件の初公判も13日に東京地裁であり、生田被告は無罪を主張している。 生田被告の告訴状によると、堀木検事は41日連続で合計約205時間の取り調べを行った。生田被告は容疑を認めず、黙秘をした。すると、堀木検事は「威迫し、侮辱し、罵倒し、著しく人格を傷つけ」る言動を繰り返したという。 黙秘する生田被告に、堀木検事は次のような言葉を浴びせたという。 「黙秘することに関しては自由や。でも、それを逮捕前からずうっと、うそついてて『黙秘します』と言ったことをどう捉えるかも、うちの自由や」 「人格を疑われるで、このままやと」 「特捜部に呼ばれてな、逮捕前うそばっかり言うてな、逮捕されたら黙秘してます。どう思う? その人、世間が知ったら。真面目な会社の社長さんなんて、誰も思わんで。なあ。やっぱ反社やで」 そして、生田被告の有罪が決まっているような発言もあった。 「普通の刑事事件でも99%有罪や。今回この事件なんて、ま、100やわ」 「起訴されてんねんで、既に、11億から12億の詐欺では。生田さんな、想像、想像つかんか。既に起訴されたやつで、自分は何年刑務所行くんか」 それでも生田被告が黙秘を続けていると、 「ええか、生田さん。黙秘を人のせいにするな!」 「自分が選んだんやろ!」 などと怒声をあげたという。