東海大が強い?青学大は……大混戦となった全日本大学駅伝から見えた箱根駅伝の行方とは?
東洋大は5位という順位だけを見れば厳しい結果になった。しかし、箱根を見据えると追い風が吹いている。まずは1万メートル28分台の渡邉奏太(4年)が2年ぶりに学生駅伝に復帰。1区を区間6位でまとめた。そして3区に入ったエース相澤晃(4年)が強烈だった。抜き去るときにペースを上げながら、10キロを27分47秒で通過。11位からトップに急上昇した。箱根では2区が濃厚で、他校の脅威になるだろう。定方駿(4年)が7区で青学大・吉田と同タイムの区間2位と健闘したのも大きい。 箱根1区で2年連続区間賞を獲得している西山和弥(3年)が5区で区間11位と失速。「レースで育てたい」(酒井俊幸監督)とアンカーに抜擢した宮下隼人(2年)が2つ順位を落としたが、ともに実力のある選手。本番までに仕上げてくるだろう。箱根に向けては、故障明けのため欠場した1万メートル28分台の吉川洋次(3年)、2年連続で往路Vのゴールに飛び込んでいる田中龍誠(3年)関東インカレのハーフマラソン4位の蝦夷森章太(2年)という戦力もいる。選手層はさほど厚くないが、2区相澤で抜け出して、そのままトップを突っ走りたい。 出雲駅伝で初優勝を飾った國學院大は7位。出雲で好走した4区藤木宏太(2年)と7区茂原大悟(4年)のブレーキが響いた。それでも、5区青木祐人(4年)が区間賞を獲得。故障あがりだった1万メートル28分台の島崎慎愛(2年)が1区を務めて、5区中西唯翔(1年)が区間5位と好走するなど、学生駅伝を経験した。箱根では、出雲の最終6区で大逆転を演じた主将・土方英和(4年)の2区、「山の神」に最も近い男・浦野雄平(4年)の5区が濃厚。青木は2年連続で3区を好走しており、往路の布陣は強力だ。チームは「往路V」&「総合3位」という目標を掲げている。 全日本では“5強”の戦いが予想されたが、8日前に箱根予選会に出場した東京国際大が4位、早大が6位に入ったことには驚かされた。創部9年目の東京国際大は箱根駅伝予選会でトップ通過。1区山谷昌也(1年)、3区芳賀宏太郎(2年)、7区内山涼太(4年)の3名を予選会で温存している。 8区でルカ・ムセンビ(1年)が区間賞を獲得したが、箱根予選会個人3位のイエゴン・ヴィンセント・キベット(1年)の方が実力は上だという。エース伊藤達彦(4年)は箱根予選会で日本人トップに輝き、全日本2区で区間賞。箱根では2区で「区間賞」を狙っている。日本インカレ5000メートルを制したヴィンセントを1区もしくは3区に起用する見込みで、往路では台風の目になりそうだ。過去3回の箱根駅伝は、17位(16年)、17位(18年)、15位(19年)。選手層の厚いチームだけに、山をうまく乗り切ることができれば、上位でフィニッシュしてもおかしくない。