K-POP合唱・ペンライト、祭りになったデモ…食べ物の先払い・分け合いも(1)
国会の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾訴追案表決1時間前の14日午後3時。ソウル汝矣島(ヨイド)の国会議事堂近くには、20万人(警察の非公式推算)が集まった。警察・消防によると、この日違法行為で逮捕された市民も、安全事故も全くなかった。平和な集会の様子が全世界に生中継され、韓国人の市民意識と祭りのような「K集会」はもう一度注目された。 現場では少女時代の『Genie』『Into The New World』、aespaの『Whiplash』、ロゼの『APT』などK-POPがしきりに流れた。市民たちはアイドルのペンライトなど各種道具を振りながら一緒に歌った。2016年、朴槿恵(パク・クネ)元大統領退陣要求集会で民衆歌謡が歌われたこととは全く違う姿だった。 ソウル市役所前で大々的なロウソク集会が開かれた16年前の狂牛病事態の時とはさらに違った。2008年当時、義務警察として勤務したパクさん(37)は同日、弾劾案成立を促すために出てきた。パクさんは「16年前には警察に唾を吐いたり足で盾を蹴ったりする人が多かったが、今は祭りのように集会の雰囲気が大きく変わった」と話した。 現場で翻っていた旗には「全国家で横たわる連合」「足底筋膜炎連合」「猫の足の裏研究会」などユーモアのある団体名が書かれていた。ほとんどが個人などが集会のために作ったものだった。文言も「闘争」「前進」などが記されていたかつてとは異なり、多様で個人的な内容だった。状況に対する批判・叱責中心だった8年前の朴元大統領弾劾の当時とは違った。民主主義・三権分立など巨大談論より「戒厳から私の日常を守る」というメッセージが主となっていた。「育児退勤後、精神的平穏争取連合」の旗を手にしたチェさん(35)は、「育児が終わった後には休まなければならないのに、大統領のせいで旗を持ってきた」とし、「育児も大変なのに、平穏な人生が消え、弾劾を叫ばなければならない異常な世の中に腹が立つ」と話した。 市民たちは体感温度が氷点下だったこの日、冷たいアスファルトの上に座って互いに応援し、温もりを分かち合った。用意してきたカイロとおやつを他の市民に渡した。また、集会に参加できなかった市民などが現場近くのカフェなどに代金を先払いしておいた飲み物などを受け、体を温める市民もいた。キム・ジンジュさん(35)は「ホットパックにみかん、エネルギーバーまで受け続けた」とし「尹大統領は暴力的な戒厳令で衝撃を与えたが、わが市民はそうではないということを全世界に知らせることになり嬉しい」と話した。周りのビルもトイレを開放するなど集会参加者に便宜を提供した。しばらく待っている中でも割り込みやケンカもなく、秩序整然としていた。弾劾訴追案が可決され、集会が終わった後は、誰もがゴミをビニール袋やかばんに入れるなど、周囲を整理した。地下鉄駅などに移動する際も、警察などの案内に従ってゆっくり安全を守った。