「お~いお茶」ヨーロッパに本格進出!「スタバ」のコーヒー豆かすが人気スイーツに!
今回のテーマは、「お茶と珈琲の新戦略」。 現代の消費者は、味や価格以外にも、機能性や安全性、環境への配慮などさまざまな基準で飲料を選ぶため、メーカーはその対応を迫られている。お茶飲料でトップシェアを誇る「伊藤園」は、北米やアジアに続き、4月に初めて欧州市場に本格進出。一方、コーヒーチェーン「スターバックス」は、コーヒーの豆かすを使ったある試みを始めていた。 SDGsを武器に仕掛けるビジネスの最前線を見つめる。 【動画】「お~いお茶」ヨーロッパに本格進出!「スタバ」のコーヒー豆かすが人気スイーツに!
「お茶」で世界を制する! 鍵はSDGs
1966年、茶処・静岡でお茶屋としてスタートした飲料メーカー「伊藤園」(東京・渋谷区)は、従業員約8000人、売上高約4500億円(連結)の大企業に成長した。 看板商品の「お~いお茶」は1989年の発売以来、累計430億本を突破。6年連続で年間売上世界一(無糖緑茶飲料ランキング)に輝き、ギネス世界記録を更新中だ。 「お~いお茶」は、北米やアジアを中心に40を超える国と地域で販売しており、次に目指すのが、世界戦略へ向け重要な足がかりとなるヨーロッパだ。
野球界のスーパースター・大谷翔平選手と「伊藤園」のグローバル契約を締結させた立役者のひとり、「伊藤園」国際本部 本部長の中嶋和彦さん(52)は、「ようやくヨーロッパに行ける準備が整ってきた。今回のドイツは入り口。最終的には中東・アフリカに。100カ国を当面の目標にしている」と話す。
プロジェクトを託されたのは、「伊藤園」国際事業推進部 部長の小城真さん(49)だ。 ヨーロッパで販売する「お~いお茶」はプラスチックに対する規制が厳しいため、ペットボトルではなく紙製に。またEU(欧州連合)では、7月から海洋プラスチック汚染に対応するため、落ちないキャップが義務付けられた。規制は容器だけではなく、中身にも及ぶ。
鹿児島は、桜島の火山灰によって作られた水はけのいい土壌と寒暖差のある気候がお茶の栽培に適しており、年間の荒茶生産量は約2万6000トン(2023年度)。首位・静岡に迫る勢いだ。 お茶問屋「堀口園」(鹿児島・志布志市)は、近隣の農家13軒から収穫した茶葉を加工し、「伊藤園」に卸している。茶畑の広さは、「東京ディズニーリゾート」の約7個分。 この日、小城さんは「堀口園」に出向き、社長の堀口将吾さんにある相談を持ちかけた。 「ヨーロッパは特に農薬の規制が厳しい。有機栽培や減農薬、そういった茶葉を増やしてもらえないか」とお願いすると、「今後日本の人口が減っていくことを考えると、産地としても海外に出せる茶を広げていく必要がある」と堀口さん。堀口さんのところでは、すでにヨーロッパ基準の栽培に取り組んでいた。