アリアNISMOのデザインは大人の色気!? 赤いラインの秘密とは?【新型車デザイン探訪】
NISMOならではのこだわり
ホイールはエンケイと共同開発した20インチ。森田氏は「外周部はフラット面で構成してドラッグを低減し、センター寄りのところは排熱とダウンフォースを考えて空間を大きくした」と語る。 スポークが直線なのは、「強大な回転トルクを最大限効率良く受け止めるスポークにしたいから」とのこと。「それをエンケイと一緒に探してきたので、NISMOは捻ったスポークは使わない。やはりファンクショナルビューティでなければいけない、という私のこだわりです」 展示車のボディカラーはNISMOステルスグレー。2022年モデルのGT-R NISMOから採用している色だ。ノートオーラやエクストレールなどにステルスグレーというボディカラーがあるが、そちらがパール光輝材を使いながらソリッド風に見せているのに対して、NISMOステルスグレーは完全なソリッドだ。 「余計なものを省いて研ぎ澄ましていくのがNISMOのデザインなので、専用色のNISMOステルスグレーにはパールもメタリックも使わなかった」と森田氏。ノートオーラなどのステルスグレーより少し青味が強い色調についても、「サーキットに置いたときに最も似合うことを狙った。サーキットの路面より青いけれど、青空よりグレーという色にしています」と、まさにNISMOらしいこだわりを語ってくれた。
インテリアにも”アルテリア・マグマ”
アリアのインテリアはモダンリビング感覚のデザイン。GT-RやZの”操縦するコクピット”とは正反対なだけに、「NISMOらしさをどう表現するか、悩んだ」と森田氏は吐露する。 他のNISMOロードカーのように、レカロ製スポーツシートを採用することも当然考えた。しかし、「電装系が開発し直しになるので、今はできない。基準車の表皮を変更するだけにした」とのこと。「でも、そこは割り切って、GTカーとして大人っぽくまとめよう。快適でありながらも、成熟したスポーティさを表現しようと考えた」 ベースにしたのは基準車のブラック内装。シート表皮のメイン材をスエード調の合皮に変更した。座面とバックレストの中央部分、ショルダーサポート部分は裏側に赤い布を挟み、それがパーフォレーションの無数の小さな穴から覗くようにしている。 「パーフォレーションから見える赤は”アルテリア・マグマ”です」と森田氏。まさに内に秘めた赤だ。さらに、「インパネを水平に貫く赤いラインにも、エクステリアの”アルテリア・マグマ”のテーマを活かした」。センターアームレストを含めて、基準車でカッパー色だったラインを赤に変えただけなのだが、それが内外の一体感を醸し出す。 アリアのドアや足下には”行灯”と呼ぶ独自のイルミネーションがある。白い柔らかな光が特徴だが、それも赤に変えた。「内側の熱いマグマが見えるイメージ」とのことで、これも”アルテリア・マグマ”の表現だ。 基準車のアリアの世界観を保ちながら、NISMOらしさを大人っぽく表現したアリアNISMOのインテリア。それを見てから改めてエクステリアを振り返ると、パフォーマンス感だけではない成熟した色気に気付く。NISMOロードカーの最新作は、NISMOのデザインの方向性を確かに指し示しているようだ。
千葉 匠