「冷静に考えるとエグい…」『鋼の錬金術師』禁忌を犯した者が支払った「ヤバすぎる代償」
荒川弘氏による『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)は、「ハガレン」の愛称で愛される人気作品。全世界で発行部数8000万部を超えており、アニメ版や実写版も広く親しまれている。 ■【画像】かわいそう…『ハガレン』無理やり「代償」を支払わされた男の姿■ 本作で欠かせないのが錬金術という概念だ。簡単に言ってしまえば特殊能力のようなもので、錬成陣を用いてさまざまな効果を生み出すことができる。 そんな錬金術において禁忌とされているのが、死んだ人間を錬成して生き返らせる「人体錬成」である。これを行った者は自身の持つ「何か」を失ってしまうが、そのような代償を差し出しても、人間は錬成できず、代わりに錬成陣がなくても錬金術を使えるようになる。だが、失うものはあまりにも大きい。 本作では一部の人間が人体錬成に挑戦し、それぞれが不幸な結末を迎えた。そこで今回は、禁忌に手を出した者の「大きすぎた代償」を振り返っていきたい。
■身体やその一部を持っていかれたエルリック兄弟
物語の主人公であるエドワード・エルリックとその弟アルフォンスは、幼い頃に母親を人体錬成によって蘇らせようとした。しかし、それが過ちだったとすぐに気付く。 彼らが蘇らせたのは大好きな母親ではなく、「人の形をした何か」……。しかもエドは代償として左足を、アルは肉体そのものを失ってしまった。 これが本作で最初に行われた人体錬成の描写であるが、かなり生々しい。当時のエドは11歳と幼く、愛する母親を生き返らせたいという一心で人体錬成を行ったが、努力のかいもなく失敗してしまった。彼の純粋な気持ちが伝わってくるからこそ、過ちをおかしたことにやるせない気持ちになってしまう。 左足だけを失ったエドはましな方で、すべてを失ってしまったアルは悲惨としかいいようがない。この残酷な現実を突きつけられたエドは、弟まで失うわけにはいかないと、アルを引き戻すためもう一度錬成を行った。 その結果、どうにか魂だけを取り戻すのに成功。側にあった鎧にアルの魂を定着させることができた。ただし、今度は右腕を失ってしまう。 そこから兄弟は元の身体に戻るための旅に出るが、アルにとっては地獄の日々が始まる。肉体を持たない彼は、睡眠や食事を必要としない体になってしまったのだ。 便利で良い体だと思えるかもしれないが、眠らずずっと起きているというのは、苦難でしかない。みんなが休んでいる夜中はひとり孤独となり、夜が明けるまでじっと耐える……。14歳のアルにこの日常はかなりキツかったはずだ。 エドはエドで義手と義足で日々を送っており、さまざまな面で不自由さを感じていただろう。しかも戦闘では何度も壊されてしまっており、万全の状態で過ごすには定期的なメンテナンスも欠かせない。 そんな状態で長い歳月を過ごし、決してくじけることなく目的を成し遂げたふたりは、相当の強さの持ち主だと思う。