中山大障害をしっかりと精査する紙面

　昭和の東スポ競馬は、創成期からブームに乗って急ピッチで露出を拡大。４０年代もその傾向は続いていた。ただし、現代のスポーツ紙では当たり前の「重賞レースにフォーカスを当て、ＧⅠを最上級に扱う」という指針はまだ生まれておらず、紙面作りにメリハリはあまりなかった。当該週に重賞が組まれておらず、メインレースがオープン特別でも情報量はあまり変わらなかった。 　昭和４２年の秋～冬シーズンの紙面を見ても、菊花賞、秋の天皇賞…とビッグレースは当然それなりに扱われていたが、前記のように非・重賞も存在感十分。中でも妙に目立っていたのが、１２月初旬の中山大障害を扱った週だ。 　２０２４年で１４７回を迎える伝統のレース。現在もハードル界の重厚なＧⅠとしてそれなりの支持がある競走だが、ご存じの通りスタミナと飛越のスキルが問われる戦いで、スピード比べの平地戦とは「別競技」。今も昔も分析しにくいジャンルなのだが、当時の紙面はコメントと追い切りを俎上にあげ、平地戦と同様に精査。しかも、どこか手探りモードになっている現代に比べ白黒が鮮やかだった。 　追い切り紙面に「絶好調」「申し分ない」という○の見出しがある一方、情報面では「汗とりでカムフラージュ」「本調子欠き関係者にあせり」など、過激な表現の×見出しも登場。大胆過ぎる（？）切り口が印象的な構成になっていた。