治療中は日常的な運動で体幹を強化し、食事で体力維持を 飲酒やサプリメント摂取は避けて がん電話相談から
がん電話相談には患者や家族から治療中の食事や栄養に関する相談も寄せられます。今回は、がん研有明病院の副院長で消化器センター長の渡辺雅之医師と、食事指導を担当する管理栄養士の高木久美さんに、食生活と運動にまつわる疑問について聞きました。 ――治療中、体重減に悩む人がいます。 渡辺「そもそもがん患者は治療中、低栄養になることがあります。がんが進行すると代謝に影響し、骨格筋量が減り、やせてしまうと合併症も起こりやすくなります」 ■味付けに工夫して食べる ――食欲がないときはどうすればいいでしょうか。 高木「化学療法中の味覚や嗅覚の変化は人により異なります。味を弱く感じる方には濃い味付けの料理、強く感じる方には調味料を食事中に調整しやすい料理を。酸味のある料理は食べやすい傾向があり、ソースや酢を使った料理を勧めています。においを強く感じる方には香りがあまり立たない冷たい料理を紹介します。吐き気があるときはゼリーやシャーベットが好まれることが多いです」 ――食べられるものを食べて体力を維持することが大事なのですね。 渡辺「食事だけでなく運動も大事です。定期的に運動して骨格筋がしっかりしている人は手術を乗り越える力も非常に強い。いすから立ち上がるだけでも大腿(だいたい)筋を使います。できる範囲の運動を日常的に続けてみましょう」 高木「体幹の強化には前向きに取り組んでほしいです。1日5千歩以上歩くと合併症の発生率が少ないという報告があります。繰り返し歩くことで筋肉がつくので普段から自分のペースで歩いてみましょう」 ■栄養補助食品は役に立つ ――忘年会シーズンですが、飲酒はどうですか? 渡辺「医師の立場からいえば、お酒には発がん性物質が含まれるので飲酒は控えてと言いたいです。食道、咽頭、頭頸(とうけい)部のがんの発症に関連するといわれています。特に飲酒で顔が赤くなる人はアルコールの代謝がうまくできない体質で、飲酒でがんになりやすい。毎日飲むのはやめたほうがいいでしょう」 ――治療中のサプリメント摂取はどうでしょう?