妊娠中でタイトル戦不戦敗続く福間香奈女流名人 日本将棋連盟が説明会開催
日本将棋連盟は30日、妊娠中の福間香奈女流名人=清麗、女流王座、女流王位、倉敷藤花=が体調不良により不戦敗決着が続いたことを受け、報道向けに「女流棋戦の裁定における説明会」を開催した。福間は2タイトル戦計4対局が不戦敗となり、いずれのタイトル戦もそのまま決着していた。 不戦敗の経緯について、同連盟の常務理事である清水市代女流七段は8つの女流棋戦が年間スケジュールで動いているタイトル戦運営の前提について触れつつ、「今回は、(福間の妊娠にともない)複数のタイトル戦で大幅な対局日程の変更を行った。福間女流五冠の『対局を指したい』というゆるぎない意志を尊重し、タイトなスケジュールになるもののタイトル戦は行うものとしました。ただ、その後、体調不良の申し出があり、(各スケジュールで)年間スケジュールで日程が決まっていることもあり、どうしても対応できず、今回不戦敗という結論に至った」と説明した。 福間の不戦敗についてはタイトル戦規定に基づき、委員会での検討の末、決定。福間の体調不良の申し出が白玲戦第1~4局の間の日程などであれば、日程変更などで対応した可能性はあったとした。 本件を含む福間の妊娠中のタイトル戦に関しては同連盟と福間それぞれが代理人を立て、協議が進められている。福間の代理人からは福間の体調については「腹部の痛みや吐き気、妊娠から来ると思われる症状が出ている」と説明があったという。 福間は今月15日に東京・渋谷で行う予定だった女流王将戦三番勝負第2局、19日に札幌市内行われる予定だった第4期白玲戦七番勝負第5局、東京・台東区浅草で26日に行われる予定だった白玲戦七番勝負第6局、29日に東京・渋谷で行う予定だった女流王将戦三番勝負第3局を、体調不良を理由に休場し、同連盟は協議の結果いずれも不戦敗としていた。 その結果、白玲、女流王将ともに不戦敗による西山朋佳女流三冠の防衛が決まっていた。 対戦相手の西山について同連盟代理人弁護士は「不戦勝決着について説明を受けた西山さんの返答は、福間さんの体調を気遣う内容が主だった」と明かした。 福間の出産の予定は12月。福間は出産のため11月17日から来年2月12日まで休場する予定になっている。 産休前の11月5日からは大阪市で挑戦者に伊藤沙恵女流四段を迎えての倉敷藤花戦三番勝負が開幕する予定だが、同連盟は「(開催延期も含め)慎重に検討している」とした。福間は現状産休明けから1か月で15~20局対局を指す見込みとなっているという。 今後、日本将棋連盟は妊婦の活躍の観点から、対局規定、タイトル戦規定の変更を視野に協議を進めていく考えを示した。
報知新聞社