<保志総一朗>「ガンダムSEED」20年の思い 新作公開で「自分の中で再スタート」
キラは超人めいているが、悩むこともある。保志さんの演技からその絶妙なバランスを感じる。
「自分の中でいろんなことを経験し、乗り越え、成長したキラなので、昔みたいに何も分からずに悩むというよりは、乗り越えたものがあるからこその葛藤になっているはずです。監督から『もっと感情を出しちゃっていい』というディレクションがありました。『SEED DESTINY』を経験したこともあって、僕の中で無意識に抑えているところがあり、少し大人なキラになっていたところがあったんです。最初は少し苦労しました。自分の中の気持ちのすり合わせが必要でした」
◇“アスラン”石田彰の安心感
収録はアスラン・ザラ役の石田彰さんらと一緒にできた。劇場版のイベントで、保志さん、石田さんら声優陣がトークする姿を見ていると、いい意味でリラックスしていて優しい空気を感じたことがあった。
石田さんは、インタビューで「そういった柔らかい雰囲気を感じられたのだとしたら、20年の時を経ているとはいえ、シリーズを通して同じ釜の飯を食った的な気安さがあったからだと言えるのかもしれません。でも一番大きな理由は一瞬でその場の空気を染め上げる保志君の人間力のおかげだろうというのが個人的な推測です」とも語っていた。保志さんはどう感じているのだろうか?
「穏やかなのは、石田さんの空気ですよ! 石田さんがいると落ち着きますし、アスランと重なるところがあって、頼りになりますし、安心感があります。アフレコでもそういうところがありました」
「SEED FREEDOM」では、キラがアスランに対して素直な気持ちをぶつける名場面がある。保志さんが「石田さんだから、受け止めてくれると分かっていますし、安心してぶつかれました。アスランとのやり取りはうれしかったです」と話すように、「安心感」があるからこそ、名演は生まれた。
「SEED DESTINY」の放送終了後もゲームなどさまざまな場面でキラを演じる機会はあった。ただ、一人で収録することが多かったといい、声優陣が再集結しての収録は格別だったという。