鳥取城北・中木村 努力で磨いたバントで逆転呼ぶ 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第2日の20日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われ、鳥取城北が21世紀枠の三島南を6―2で破り、センバツ初白星を手にした。 【鳥取城北と三島南の対戦を写真特集で】 誰よりも磨いた「小技」で試合の流れを一気に変えた。鳥取城北で「器用さナンバーワン」と呼ばれる2番・中木村が、逆転の一挙2得点を呼び込むバント内野安打。打球を処理しようとして悪送球した三島南の右腕・植松が「パニックになった」と振り返る一打は、中木村の狙い通りだった。 1点を追う五回、1死一、二塁で左打席に入った。植松は「バントをしてくる」と警戒したが、中木村は「自分も(一塁に)生きてやる」。初球の内角直球を打撃の構えからセーフティーバントをし、三塁側へ絶妙なゴロを転がした。 事前に三島南の試合動画を見た中木村は「投手や三塁手の(バント処理の)動きが遅い」と感じていた。投手と三塁手のどちらでも処理できる位置に転がしたことで、三塁はがら空きに。捕球した植松は一瞬三塁を確認し、慌てて一塁に投げたものの、二塁手のカバーが少し遅れ「一塁がどこか見えなかった」。悪送球で白球が転々とする間に、2人が生還した。絶妙のバントで鳥取城北が逆転し、試合の主導権を握った。 秋にメンバー外だった悔しさをバネに打撃練習でも人一倍、バントをこなした中木村。自分の武器は小技で「つなぎ役」だと自負する。身長158センチ、体重59キロとチームで最も小柄な努力家の活躍に山木監督も「本当に100点のプレーをしてくれた。すごくうれしい」と顔をほころばせた。【田中将隆】