EVとガソリン車が同価格に! 進化する欧州、「補助金依存」からの脱却と低価格モデル投入の新潮流とは
中国勢の猛攻と対抗策
市場調査会社ロー・モーションが発表した2024年9月のデータによると、EVおよびプラグイン・ハイブリッド(PHV)の世界販売台数は169万台に達し、前年比で30.5%増加した。 特に中国での販売が好調で、欧州市場でも回復の兆しが見えている。欧州の販売台数は前年比4.2%増の30万台で、英国では24%と急増し、イタリアやドイツ、デンマークでも販売が増加している。 EVとガソリン車の価格差が縮小することで、EVの需要拡大が期待されている。手頃な価格のEVが増えることで、ガソリン車からEVへの移行を検討しやすい環境が整いつつある。 また、10月末から欧州連合(EU)による中国製EVへの追加関税が正式に発動されるが、中国のEVメーカーは欧州市場進出を加速させている。BYDは2025年末までにハンガリー工場を稼働させる予定で、他のメーカーもEU内での現地生産によって追加関税を回避する方法を模索している。これにより、競争力のある低価格のEVを欧州市場に投入するチャンスを狙っている。 こうした中国勢への対抗策として、欧州メーカーは低価格でEVを販売し始めている。さらに、ルノーは新型EVトゥインゴのプロトタイプ(E-Tech)をパリモーターショー2024に出品し、2万ユーロ(約320万円)以下での発売を目指している。
EV成長のカギを握る低価格製品
各国の補助金政策や充電インフラの整備状況は、今後もEV需要に大きな影響を与えるだろう。 しかし、EV需要を喚起するには、政府の補助金支給に依存するだけでは不十分だ。自動車メーカーが低価格のEVを積極的に投入する動きが見られている。 これからも手の届きやすい価格のEVが増えることで、欧州市場のEV販売が上昇していくか、気になるところだ。
三國朋樹(モータージャーナリスト)