ダンス・ドローン・AI 介護給付費を削減する自治体の挑戦【WBSクロス】
AIで高齢者の健康を改善!?
先端技術で将来の介護給付費の削減に挑む自治体もあります。三重県にある東員町。町の健康長寿課の児玉豊和課長が注目していることがあります。 「フレイルの段階で早くに必要な手を打てば、健康な状況に戻れる。いかに早くフレイルを検知して介入をしていくか」(児玉課長) フレイルとは、年齢を重ねることで病気にはならないまでも、体や心の働きが弱くなり健康と要介護の中間の状態を指します。 この日、ある男性が役場を訪ねました。「中部電力」事業創造本部の山本卓明さん。児玉課長と見つめる先にあるのはグラフです。これで何がわかるのでしょうか。 取材班が訪ねたのは、町に住む本間みさ子さん(74)。去年仕事を辞め、今は自宅で1人で暮らしています。外出する機会も減り、家でテレビなどを見て過ごす時間も多いといいます。 これまで自治体は家庭の訪問やアンケートの郵送などでフレイルの疑いのある人を見つけ、対応にあたってきました。
実は先ほど児玉課長らが見ていたのは、電力の使用量のデータ。そこから睡眠時間、外出、食事などの生活リズムをAIが分析し、フレイルの予備軍を自動で見つけ出すというのです。 「フレイルにかかる状況だったらちゃんと連絡する。どういうふうな生活してくださいとか(行政が)アドバイスしてくれるらしい」(本間みさ子さん) 東員町と中部電力では既に電力データの利用を許可したおよそ100人の高齢者を対象に実証実験を行い、フレイルの可能性がある高齢者を11人見つけました。役場の職員が生活習慣の改善などを提案し、8人が健康な状態に戻ることができました。 「町民の健康寿命の延伸に繋げて、最終的には社会保障費の削減などにも繋がれば素晴らしい」(児玉課長) 中部電力は2025年度までにこのサービスを50の自治体に広げ、介護給付費の削減に繋げたい考えです。 「モデルが一つできると全国の自治体で使ってもらえる。元気な高齢者、市民が増える活動となっていけばと思っている」(中部電力の山本さん) ※ワールドビジネスサテライト