発達障害の子を周りと比べてしまうときの対処法 「比べないようにする」は解決策にならない
発達障害の子を持つ親御さんは、知らず知らずのうちに気を張り、自分を追い詰めてしまいます。世間でよく言われているような発達障害の子どもとの接し方が思い通りにいかないとき、どうすればいいのでしょうか。「自閉スペクトラム症」の診断を受けた3人のお子さんを持つ「外科医ちっち」さんの著作『発達障害の子を持つ親の心が楽になる本』より、解説します。 ■いつまでも報われずしんどい 長女は3歳になって幼稚園に入りましたが、集団生活が始まり、長女と周りの子どもとの違いが目立つようになりました。長女は予定と自分のしたいことがずれてしまうと、脱力して動けなくなってしまうようでした。当然、幼稚園生活ではそういうことが頻繁にありますから、長女が動けなくなることも1日のうちに何度もありました。
見かねた幼稚園の先生たちが、脱力状態の長女を脇に抱え、移動させていました。これは入園後、数カ月が経過しても変わらず、何度もそれが繰り返されたので、年配の先生から直接言われたのが「ぼろ雑巾のような子」という一言です。 長女はふざけているわけではなく、次の予定通りに動きたいという気持ちはあるものの、動けないようでした。とはいえ先生たちにそのことはうまく伝わりません。家で思いつく限り練習しても、変化はありませんでした。努力しても報われないし、そもそも、その努力が正しいかどうかもよくわかりません。
長女自身、苦しそうなときもあり、「親としてどうにかしたいのに、何をしたらいいのかわからない」という歯がゆい時期がありました。この歯がゆさを親ですらうまく表現できず、似た子も知らないので参考にできるものもなく、周囲からは「ただ怠惰な子と、口うるさい親」と思われていたようです。 ■どうしても他人と比べてしまう 集団行動になると、想像以上にわが子の「変なところ」が目立ちます。私たちの場合は、ただ「しんどいな。うまくいかないな。隣のお嬢ちゃんとパパとママのほうが幸せそうだな……」と鬱々としていました。