発達障害の子を周りと比べてしまうときの対処法 「比べないようにする」は解決策にならない
よく「他人と比べずに」といったアドバイスをいただきます。わが家も最初はそうしようと思いましたが、他人と比べるのは人間の動物的な本能ですから「比べないようにする」というのは不可能でした。 自分より他人のほうがうまくいっているように見えると、人と積極的にかかわる気持ちがなくなります。公園やショッピングセンターにも出かけたくなくなり、休日も平日もいつも家にいる日々でした。ふとした会話が気分転換になっていた宅配生協のおじさんとも話したくなくなってしまい、居留守を使う始末でした。
日々が大変で、辛いこともあるからこそ、回復しないとやっていけないのに、大変すぎて、もともと楽しめていたことすらできなくなるという悪循環でした。 ■ 別の軸で評価を得られる機会をつくる なので、実践したのは「別の軸で評価を得られる機会をたくさんつくる」ということです。長女は集団行動では予定通り動けず、変に目立ってしまったので、集団行動以外でできることを探したのです。具体的には、近くの科学館に通ったり、工作のコンクールに応募したりしました。
その結果、思いがけず賞をもらえたり、おもしろい思いつきをコンクールで発表している長女を見たりする機会が増えました。そうすると、あまり見たことがなかった長女の格好いい姿をたくさん見られるようになりました。 同じ年齢の集団生活の中では「変なところ」が見え、園や学校で目立っても、「本人の能力が周囲と比べて低いのが問題なのではない。状況と本人との相性が悪いのが問題なのだ」と思えるようになりました。子どもたちは、内容や指示のやり方によって、うまく動けることもあれば、まったく通じず、動けないこともありました。
「できる」と「できない」の違いはあいまいで、大人が感じる難しさだけでなく、興味や体調、機嫌、大人側の指示の出し方に影響されることが実感でき、劣等感を覚えることが減りました。
外科医ちっち :外科医