話題の青春エロ&ラブコメドラマ『サバエとヤッたら終わる』のUBUNA監督が制作秘話を語る!「沢口愛華さんとのサシ飲みで話したこと」
■サバエとヤッたら、何が終わる? ――ところで本作では、キャラクターだけでなく、それ以外の部分もエロく見せるよう気を使ったとか。 UBUNA こだわりましたね~。特に第1話は居酒屋のシーンが多かったので、いかに消え物(食べ物)をエロく撮るか? 下ネタっぽくみせるか?を考えました。たとえば劇中にユッケが出てくるんですけど、肉々しいピンク色に、油でシズル感を足して、見る人が見たら少し卑猥に見えるように試行錯誤したり(笑)。 ――唐揚げにレモンを絞るシーンでは汁が飛び散っていました。 UBUNA 私含め、童貞マインドを持つスタッフが「唐揚げにレモンかけるの、なんかエロくないっすか?」とか言い出したので、そのまま採用しました。あのシーンは主人公の宇治君の憧れの存在である桜井さん(進藤あまね)が、他の男に取られてしまう、いわば「寝取られ」を暗示したかったので、ちょうど良かったですね。 今回の現場はスタッフさんの"妄想力"に助けられましたね。 第7話で店内の客の会話が、あるキャラクターにはエロっぽく聞こえる単語が飛び交うシーンがあるんです。そのシーンは原作にも脚本にもなく私が現場で思いついたものだったんですけど、自分ではエロく聞こえる言葉が思いつかなかった。 それでスタッフさんを集めて、その場でエロっぽい言葉を挙げてもらったんです。そしたらスタッフ全員で「マチュピチュ」とか「マンチカン」(猫の種類)とか「キンタマーニ高原」とか言い出して(笑)。今回の現場はスタッフ全員が終始こんな感じでした。 ――ドラマ『サバエ~』は王道の青春恋愛ストーリーでもあります。主人公の宇治君には憧れの女性がいる。ところがサバエが何かとちょっかいを出してくるので、常に心が揺れ動いている。この優柔不断さが童貞っぽくて最高でした。 UBUNA そう言っていただけてありがたいです。 自分自身を"童貞"みたいなものだと思ってるんですよ。通っていた高校は女子が多かったんですが、自分自身どっちかというと男勝りだったので、着替えのとき、「どこ見てんの?」「触る?」みたいに言われたり、巨乳の友達が体を密着させてきたり。で、私が「やめろよっ!」て反応をすると面白がってさらに体を寄せてきて。 ――まるでサバエと宇治の関係にそっくりですね。 UBUNA そういう学生時代の思い出があったので、『サバエ~』が描けたんだと思います。 あと、なぜか童貞に共感してしまうんですよ。愛おしいって言いますか。器用な人よりも、恐る恐る何かを確かめるみたいに生きている人のほうが人間らしい気がするんです。 今の若者って「自分が嫌」みたいなコンプレックスがある人のほうが多いですよね。自分の生き方を他の人の生き方と比べて、「今の俺はダメなんじゃないか」と思ってしまったりすることもある。ドラマ版の宇治っていうキャラはそういう男子なんです。 そんな主人公にとって、自分のことを理解してくれている親友のサバエはとても大切です。イジってくる言葉の中にどこか愛を感じられる、拒絶しないでいてくれる。当時の自分は気付けないかもしれないけど、年月が経てば、学生時代のその存在がとても貴重だと、実感できると思います。 そして同時に、イタくてダサいと思っていた過去の自分でも、少し好きになれるんじゃないかなと。 ――なるほどです。ところで気が早いですが、ドラマ版『サバエ~』が続編があってもおかしくないラストになってましたね。 UBUNA 続編か~。あったらすごく嬉しいですね! ――もしネクストがあるなら、サバエと宇治君のより密接な関係が描かれる? UBUNA 個人的に思うんですけどベッド・シーンを描くよりも、そのベッド・シーンに至るまでのドキドキ感が一番エロいと思うんですよ。 ――ホテルに行くまでが一番興奮するみたいなやつですね。 UBUNA それです! 『サバエとヤッたら終わる』っていうタイトル自体がそれを表しているように感じます。 「終わる」っていろんなところにかかってる。サバエとヤッてしまったら、憧れの桜井さんへの恋心も終わってしまう。サバエ本人との友情も終わるかもしれない。サバエとヤッてしまった、という自分の倫理観も終わるわけですし。 そしてこれはあくまで私個人の感想ですが、ヤッてしまったら、それまで抱いていたイマジネーション力がなくなってしまうのでは?と、少し寂しく思います。 いつまでもピーターパンではいられない。いろんな経験を経て大人になっていくと思うのですが、童貞でいられるうちのモラトリアム感が心地良いみたいな感覚はあるかもしれませんね。コンプレックスを抱いている自分も、後になってみたら必要な過程なんだと思います。