【毎日書評】同じ仕事をしても、なぜか高評価を獲られる人の「コスパよく働く技術」
会社で高い評価を得るために必要なのは、他者より秀でた圧倒的に高い能力や地頭力だけではありません。時には「ズル賢くて不真面目なテクニック」を活用することが重要です。(「はじめに」より) 現役のメガバンク行員である『雑用は上司の隣でやりなさい あなたの評価を最大限に高める「コスパ最強」仕事術』(たこす 著、ダイヤモンド社)の著者は、こう述べています。それは、高学歴であることよりも重要なポイントであるようです。 加えて、会社の「評価」を勝ち獲るためには2つの方法があるのだとも指摘しています。まずひとつは、がむしゃらに仕事に尽力して評価されること。そしてもうひとつは、テクニックを活用してコスパよく高い評価を得る方法。ここで焦点を当てているのはもちろん後者で、そのために身につけておきたいメソッドを「高コスパな仕事術」と位置づけているのです。 「高コスパな仕事術」で大切なのは、「意味のあることにだけ力を入れる」「意味のないことには極力体力をかけない」ことです。 世のビジネスパーソンの圧倒的大多数は、まだまだコスパを上げる余地があると感じています。しかし、これを指摘している書籍はほぼ見当たりません。(「はじめに」より) そこで著者は本書において、多くの方が「この仕事って自分がやる意味ある?」と感じてしまうような業務や、意味がありそうだけれど「どれだけの意味があるのかは説明できない」というような曖昧な業務に、コスパの観点から意味づけをしているのです。 したがって読み終えたころには、すべての業務を「コスパの観点で意味づけができる」スキルが身についているというわけです。 きょうは第1部「自分の評価を最大化する」内の第1章「同じ働きで、より高い評価を得る『見せ方』」のなかから、2つのポイントを抜き出してみたいと思います。
雑用は「人が見ているときに」「引き継ぐことを前提に」
雑用を頼まれたときには、「この雑用が自分のスキルにプラスの影響をもたらしているだろうか」と考えたくなるもの。著者も、「実際のところ、役に立たないことのほうが多い」と感じてきたようですが、その一方、「いまのキャリアを得るために、この雑用が活きたか?」と聞かれたとしたら、「じつはけっこう役に立った」とも答えるのだそうです。 なぜなら雑用は、取り組み次第で自分のキャリアにプラスの影響を与えるから。「どういった観点に注意して雑用をこなすか」という部分をつかんでおけば、容易に社内からの評価を高めることができるというのです。 なお、雑用を受けるうえで気にしなければいけない観点は主に2つあるといいます。 一つ目は、雑用に取り組むタイミング・場所です。雑用は、そのクオリティよりも「誰がやっているのか」を認知させるほうが大事です。「この人、毎日雑用をこなしているなー」という印象は、特に若手のうちは先輩たちから好印象を持たれやすい傾向があります。(19ページより) したがって、時間や場所をある程度コントロールできるなら、意識的に他人の目が多いタイミングで雑用をこなすべきだという考え方。そうすれば、「雑用を多くこなし、がんばっている」というキャラクターが定着するわけです。 とはいえ露骨に見せつけるのではなく、上司や先輩が「雑用をやっているな」とギリギリ意識できるくらいのさりげなさも大切。 二つ目は、将来の引き継ぎを前提に取り組むことです。雑用は一般的に若手に押し付けられます。つまり、今あなたがやっている雑用は、いずれ次の新人に引き継がれていくわけです。(20ページより) また、多くの人は雑用を軽視しているため、先輩からの引き継ぎ自体が雑であるケースも少なくありません。そんななかで引き継ぎをしっかりこなせたとしたら、後輩からは「引き継ぎが唯一しっかりしている先輩」として見てもらえるはず。 いずれにしてもこれら2点を気にしながら雑用を極めていくだけで、まわりからの評価を高め、後輩からの信頼をも勝ち取ることができるわけです。(38ページより)